石川県 七尾市
七尾湾を望む大浴場と客室露天風呂が愉しめる湯宿
「白鷺の湯 能登 海舟」は、石川県七尾市にある温泉旅館。開湯1200年の和倉温泉に湧く4つの源泉を引き、宿そのものが海を旅する舟であるかのように七尾湾と向き合う。趣の異なる2つの大湯処は男女入替制で、露天風呂に身を沈めれば湯面と海が一続きに広がる。ドライサウナとスチームサウナ、水風呂も備わり、潮の風を感じながら火照りを静められる。檜・岩・陶器と趣を変えた3つの貸切露天風呂は予約不要の先着順で、和ダブルを除く客室のテラスには檜造りの天然温泉露天風呂が設えられている。なお能登半島地震からの復旧途上にあり、震災前と同様のサービスを提供できない場合があること、掲載写真が震災前の撮影であることが公式に案内されている。

和倉温泉の源泉から引いたナトリウム・カルシウム塩化物泉を湛える大浴場。塩を含んだ湯は肌に薄い膜をまとわせるように熱を抱き込み、上がってからも身体の奥がいつまでも温かい。内湯から露天へ出れば眼前に七尾湾が横たわり、湯面と海が一続きに溶け合う。趣の異なる2つの浴場が男女入替制で開かれ、滞在中に両方の湯を味わえる。純和風風呂には湯浴みの合間に腰かけて温まれる足湯も設けられている。

檜、岩、陶器と、それぞれ異なる素材でしつらえた3つの貸切露天風呂。予約は不要で、空いていれば誰にも気兼ねなく湯を愉しめる。木の香りに包まれるもの、野趣あふれる岩肌に囲まれるもの、漆の朱が艶やかに映えるもの。同じ和倉の湯でも肌に触れる感触までが違って感じられる、大切な人とだけ分け合う静かな時間である。

和ダブルを除く客室のテラスに設えられた、檜造りの天然温泉露天風呂。湯に身を沈めると湯面と七尾湾が一続きに見え、海原へ漕ぎ出す舟の上にいるかのような眺めが広がる。人目を気にせず、思い立ったときに何度でも湯へ入れるのがこの部屋の贅沢だ。波の気配だけを連れて、自分たちだけの湯浴みにひたすら浸れる。

2つの大湯処のうち、新和風風呂にのみ設けられた乾いた熱のサウナ。まとわりつく湿りのない熱がじりじりと肌を押し、静かに座っているだけで背中から汗がにじみ出す。装飾を削ぎ落とした室内では自分の呼吸と鼓動だけが際立ち、意識がゆっくりと内側へ沈んでいく。熱を芯まで蓄えてから扉を押し開けた瞬間の解放感が、この宿の湯浴みをより深いものにする。

白い霧に満たされた蒸気のサウナ。立ちのぼる湯気が視界をやわらかく溶かし、肌の上で細かな粒となって結び、喉や鼻先までしっとりと潤していく。乾いた熱が苦手でも身を委ねやすい穏やかな温もりで、肩の力がほどけるように緊張が抜けていく。腰を下ろして目を閉じれば、湿った静けさに包まれる時間がただ流れる。

大浴場に据えられた水風呂。熱を抱えた身体を静かに沈めると肌の表面がきゅっと引き締まり、火照りが波のように引いていく。水面の揺れる音だけが耳に残る静かな時間のあと、そのまま露天へ歩けば七尾湾から吹き上がる潮の風が濡れた肌をなでる。海と向き合いながらのクールダウンは、ここでしか得られない余韻を残す。

大湯処のひとつ、新和風風呂に据えられた岩盤浴の椅子。腰を下ろすと温められた石から熱がゆっくりと伝わり、背中や腰のこわばりが内側からほどけていく。汗を絞り出すというより、静かに身体を芯まで温める過ごし方に向いている。七尾湾を望む湯船との間を行き来しながら、火照りと涼みを気の向くままに繰り返せる。
大きさに関わらず、入れ墨・刺青・タトゥーがある方は大浴場をご利用いただけません。客室のお風呂または貸切風呂をご利用ください。