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健康・効能

温泉と健康:効能と注意点を医学的に解説|安全な入浴法

温泉に入ってはいけない人、妊娠中の入浴、心臓病・高血圧の注意点、飲酒後の危険性、適切な入浴時間、水分補給、湯あたり対策など、安全に温泉を楽しむための完全ガイド。

📅 2025年10月17日
🔄 2025年10月17日
温泉と健康:効能と注意点を医学的に解説|安全な入浴法

温泉には素晴らしい健康効果がありますが、誰でも、いつでも、どんな入り方をしても良いわけではありません。温泉は自然の恵みであると同時に、強力な刺激でもあります。

「温泉に入ってはいけない人は?」「妊娠中は大丈夫?」「心臓が悪いけど入れる?」「飲酒後は?」

この記事では、温泉の効能と注意点を医学的観点から詳しく解説します。安全に温泉を楽しむための完全ガイドです。

温泉に入ってはいけない人(禁忌症)

絶対的禁忌症:絶対に入浴してはいけない

1. 急性疾患(特に熱のある場合)

  • 発熱中(37.5℃以上)
  • インフルエンザ
  • 急性感染症

理由:体温上昇により、病状が悪化します。

2. 活動性の結核 理由:感染症の悪化と他人への感染リスク。

3. 悪性腫瘍 理由:血行促進により、転移のリスクが高まる可能性。

4. 重い心臓病

  • 重症の心不全
  • 不安定狭心症
  • 最近の心筋梗塞(3ヶ月以内)

理由:心臓への負担が大きく、危険。

5. 呼吸不全 理由:蒸気や高温により、呼吸困難が悪化。

6. 腎不全 理由:体液バランスが崩れる危険性。

7. 出血性疾患

  • 吐血
  • 下血
  • その他の出血

理由:血行促進により、出血が増える。

8. 慢性疾患の急性増悪期 理由:病状が不安定な時期。

相対的禁忌症:医師に相談してから

  • 高度の貧血
  • 妊娠初期・末期
  • 生理中(大量出血時)
  • 高血圧(重症)
  • 糖尿病(重症)

妊娠中の温泉入浴

以前の常識と現在

以前 妊娠中は温泉禁止とされていました。

2014年以降 環境省の温泉療養指針から「妊娠中(特に初期と末期)」が禁忌から削除されました。

妊娠中の温泉:注意点

OK

  • 安定期(妊娠5〜7ヶ月)
  • 体調が良い時
  • 短時間の入浴(5〜10分)
  • ぬるめの温泉(38〜40℃)

注意

  • 妊娠初期(つわりの時期)
  • 妊娠後期(お腹が大きい時期)
  • 長風呂は避ける
  • 滑りやすいので転倒注意

医師に相談を ハイリスク妊娠の場合は、必ず医師に相談してください。

心臓病・高血圧の人の注意点

温泉が心臓に与える影響

負担が大きい理由

  1. 温熱による心拍数増加

    • 安静時:60〜80回/分
    • 温泉中:100〜120回/分
  2. 血圧の変動

    • 入浴直後:血圧上昇
    • 入浴中:血圧低下
    • 出浴後:血圧上昇
  3. 血液の粘度上昇

    • 発汗により血液が濃縮
    • 血栓のリスク増加

安全に入浴するために

医師の許可を得る 心臓病や高血圧がある場合は、まず医師に相談。

ぬるめの温泉

  • 38〜40℃が理想
  • 熱い湯(42℃以上)は避ける

短時間

  • 5〜10分程度
  • 長風呂は厳禁

ゆっくり動く

  • 急に立ち上がらない
  • ゆっくり湯船に入る・出る

水分補給

  • 入浴前後に水を飲む
  • 脱水を防ぐ

飲酒後の入浴が危険な理由

絶対にやってはいけない

統計 入浴中の事故死の多くが、飲酒後の入浴に関連しています。

なぜ危険なのか?

1. 血圧の急激な変動

  • アルコール:血管拡張→血圧低下
  • 温泉:さらに血管拡張→血圧急降下
  • 失神のリスク

2. 脱水症状

  • アルコール:利尿作用
  • 温泉:発汗
  • 重度の脱水→意識障害

3. 判断力の低下

  • 酔っていると、体調の異変に気づきにくい
  • 溺れるリスク

4. 心臓への負担

  • アルコール+高温のお湯=心臓に過大な負担

正しい順番

OK:温泉→休憩→ビール NG:ビール→温泉

適切な入浴時間と方法

1回の入浴時間

推奨時間

  • 初回:5分程度(体を慣らす)
  • 2回目以降:10〜15分
  • 最大:20分まで

長風呂の危険性

  • のぼせ
  • 脱水
  • 疲労
  • 低血圧

1日の入浴回数

推奨 1日2〜3回まで

湯治の場合 医師の指導のもと、1日3〜4回も可能。

分割入浴がおすすめ

方法

  1. 5〜10分入浴
  2. 5〜10分休憩
  3. また5〜10分入浴

この方法が、最も体に優しく、効果的です。

入浴前後の水分補給の重要性

なぜ重要なのか?

発汗量 1回の入浴で、約300〜500mlの汗をかきます。

脱水のリスク

  • 血液が濃縮
  • 血栓のリスク増加
  • 脳梗塞・心筋梗塞の危険

正しい水分補給

入浴前 コップ1杯(200ml)の水

入浴中 長時間入る場合は、途中で水分補給

入浴後 コップ1〜2杯(200〜400ml)の水

おすすめの飲み物

  • 麦茶
  • スポーツドリンク

避けるべき

  • アルコール
  • カフェイン飲料(利尿作用)

かけ湯の重要性

なぜ必要なのか?

温度ショックの予防 いきなり熱い湯に入ると、血圧が急上昇します。

正しいかけ湯の方法

順番

  1. 足先から
  2. まで
  3. まで
  4. まで
  5. にも少し

心臓から遠い部分から徐々に これが鉄則です。

入浴時の注意点

ゆっくり入る・出る

急な動作は危険

  • 立ちくらみ
  • 転倒
  • 血圧の急変

正しい方法

  • ゆっくり座る
  • ゆっくり立つ
  • 手すりを使う

頭を湯船に入れない

理由

  • のぼせる
  • 髪が浮く(マナー違反)
  • 溺れる危険

食後すぐは避ける

理由 消化のために胃腸に血液が必要な時に、入浴すると血液が分散し、消化不良になります。

推奨 食後30分〜1時間空ける

湯あたり・湯疲れとは?

湯あたり

症状

  • めまい
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 食欲不振

原因

  • 入りすぎ
  • 長時間入浴
  • 連日の入浴

対処法

  • 入浴を控える
  • 水分補給
  • 休息

湯疲れ

症状

  • 全身の疲労感
  • だるさ
  • 眠気

原因 温泉の刺激が強すぎた。

対処法

  • 休息
  • 次回からは短時間に

入浴後のケア

体を拭く

温泉成分を残す? 泉質によります。

残した方が良い

  • 塩化物泉(保温効果)
  • 炭酸水素塩泉(美肌効果)

洗い流した方が良い

  • 酸性泉(刺激が強い)
  • 硫黄泉(匂いが強い)

保湿

入浴後は乾燥しやすい 特に炭酸水素塩泉の後は、保湿クリームを塗ることをおすすめします。

休憩

必ず休憩 入浴後は最低30分、できれば1時間休憩してください。

横になる 可能なら、横になって休むのが理想です。

高齢者の入浴注意点

特に注意が必要

高齢者は、若い人に比べて:

  • 体温調節機能が低下
  • 血圧変動が大きい
  • 転倒リスクが高い
  • のぼせやすい

安全な入浴法

  • 付き添いがいると安心
  • 手すりを使う
  • ぬるめの湯(38〜40℃)
  • 短時間(5〜10分)
  • ゆっくり動く

まとめ:安全第一で温泉を楽しむ

温泉には素晴らしい健康効果がありますが、それは正しく、安全に利用した場合です。自分の健康状態を理解し、適切な入浴方法を守ることで、温泉は最高の健康法となります。

禁忌症を理解し、水分補給を忘れず、長風呂を避け、飲酒後は入らない。これらの基本を守れば、温泉は安全で効果的な健康法です。

日本の温泉を安全に楽しんで、その素晴らしい健康効果を最大限に体験してください。

安全第一で、温泉を楽しみましょう。