アトピー性皮膚炎や乾癬など皮膚疾患のある人が温泉とどう向き合うかを中立に整理。一部の泉質では適応症に皮膚疾患が含まれる一方、酸性泉・硫黄泉など刺激の強い湯は悪化させることもある。温度・入浴時間・こすらない・浴後の保湿という注意点と、皮膚科医への相談の重要性をYMYL配慮で解説します。
公開日: 2026.06.28
アトピー性皮膚炎や乾癬など皮膚疾患のある人が温泉とどう向き合うかを中立に整理。一部の泉質では適応症に皮膚疾患が含まれる一方、酸性泉・硫黄泉など刺激の強い湯は悪化させることもある。温度・入浴時間・こすらない・浴後の保湿という注意点と、皮膚科医への相談の重要性をYMYL配慮で解説します。
公開日: 2026.06.28
アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)などの皮膚疾患がある人にとって、温泉は「効くもの」でも「避けるべきもの」でもなく、合うかどうかの個人差が非常に大きいものだ。結論から言えば、環境省の枠組みでは一部の泉質の適応症に皮膚疾患に関わる記載が含まれ、古くから皮膚の湯治の伝統もある一方で、温泉で病気が治ると言えるわけではなく、泉質や入り方によってはかえって症状を悪化させることもある。
そのため大切なのは、効能を期待しすぎず、刺激の強い湯を避け、短時間から試し、浴後は速やかに保湿し、合わなければ中止する、という慎重な向き合い方だ。そして取り入れる場合も、皮膚科での治療の代わりにするのではなく、あくまで補助として、主治医と相談しながら判断することが欠かせない。この記事では、皮膚疾患のある人が温泉とどう向き合えばよいかを、環境省の公的な枠組みもふまえて中立に整理する。
本記事は一般的な情報であり、医学的な助言ではありません。アトピー性皮膚炎・乾癬・慢性湿疹などの皮膚疾患がある方は、温泉を治療の代わりにせず、入ってよいか・どう入ればよいかも含めて必ず皮膚科医に相談してください。後述する適応症は環境省の枠組み上の記載であって、治療効果を保証するものではありません。効果や合う・合わないには大きな個人差があり、かゆみ・赤み・滲出(じくじく)・感染などがあるときや症状が悪化したときは入浴を控え、医療機関を受診してください。医師から入浴について指示を受けている場合は、その指示が最優先です。
まず公的な枠組みを整理しておきたい。日本では環境省が「鉱泉分析法指針」などで一定の基準を満たした温泉を「療養泉」と定め、療養泉ごとに「適応症」を示している。適応症とは、その温泉の浴用が向くとされる症状や状態のことで、すべての療養泉に共通する「浴用の一般的適応症」と、泉質ごとに定められた「泉質別適応症」がある。
この枠組みの中には、皮膚に関わる記載が含まれる泉質がある。たとえば塩化物泉や硫酸塩泉、硫黄泉などの泉質別適応症には、「アトピー性皮膚炎」「尋常性乾癬」「慢性湿疹」「表皮化膿症」といった皮膚の状態が挙げられている場合がある。実際に、皮膚の不調を抱えた人が温泉地に長く滞在する皮膚の湯治の伝統も各地に残ってきた。
ただし、ここで強調しておきたいのは、適応症はあくまで環境省の枠組み上の記載であって、「その温泉に入れば必ず治る」という治療効果の保証ではないという点だ。療養泉の適応症は、ある程度の期間くり返し利用することを前提とした考え方であり、一回の入浴で効果を断定できるものではない。湯治の考え方そのものについては湯治とはで詳しく扱っている。同じ皮膚疾患でも、その人の症状の程度や時期によって温泉が合うかどうかは大きく変わるため、「適応症に書いてあるから自分にも効く」と単純に受け取らないことが重要だ。
注意したいのは、皮膚疾患に関わる適応症を持つ泉質の中にも、肌が敏感な人には刺激が強すぎる場合があることだ。とくに酸性泉と硫黄泉は、その代表として慎重に扱う必要がある。
環境省は泉質ごとの「泉質別禁忌症」も定めており、酸性泉や硫黄泉については「皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症」が挙げられている。つまり、これらの刺激の強い泉質は、適応症として皮膚疾患に触れる一方で、肌が過敏な人には向きにくいという両面を持つ。同じ泉質が、ある人には合い、別の人には強すぎるということが起こりうるのだ。酸性泉の性質は酸性泉とは何か、硫黄泉については硫黄泉とは何かでそれぞれ詳しく説明している。
実際に、酸性度の強い湯ではしみる、ひりつくといった刺激を感じやすく、皮膚のバリアが弱っている状態では負担になりやすい。「皮膚に効くと聞いたから刺激の強い湯を選ぶ」という発想はむしろ逆効果になりうる。皮膚疾患があり不安がある人ほど、まずは刺激のおだやかとされる泉質から、ごく短時間で試すのが無難だ。どの泉質でも合うとは限らないため、最終的な判断は皮膚科医に委ねたい。禁忌の考え方の全体像は温泉の禁忌症にまとめている。
皮膚疾患のある人が気にしたいのは、泉質だけではない。同じ湯でも、温度・入浴時間・体の洗い方・浴後のケアによって肌が受ける負担は大きく変わる。これらは施設や泉質を問わず自分で調整できる部分であり、泉質選びに迷ったときでも負担を抑えるカギになる。次の表に、注意点と対策を整理する。
| 観点 | なぜ負担になりやすいか | 対策(目安・個人差あり) |
|---|---|---|
| 泉質 | 酸性泉・硫黄泉など刺激の強い湯は過敏な肌の負担になりやすい | おだやかとされる湯を選ぶ。刺激の強い湯は避けるか、ごく短時間で試す |
| 温度 | 熱い湯はかゆみを誘発し、乾燥も進めやすい | ぬるめの湯を選び、熱い湯・長湯を避ける |
| 入浴時間 | 長く浸かるほど皮脂が落ち、乾燥やかゆみにつながりやすい | 短く区切り、休憩をはさんで様子を見る |
| 洗い方・拭き方 | こすると皮膚のバリアを傷つけ、悪化の引き金になりやすい | ナイロンタオルでゴシゴシこすらない。やさしく押さえて拭く |
| 浴後のケア | 浴後は急速に乾燥が進み、つっぱりやかゆみが出やすい | 入浴後は速やかに保湿する |
| 悪化時 | 滲出・感染・強いかゆみがあるときの入浴は悪化を招きやすい | 無理に入らず入浴を控え、医療機関を受診する |
このうち温度・入浴時間・洗い方・浴後のケアは、どの温泉でも自分で意識できる。とくに熱い湯と長湯はかゆみと乾燥の両方を進めやすいため、ぬるめの湯に短く入るのが基本になる。
皮膚疾患のある人にとって、体の洗い方と拭き方は泉質選びと同じくらい重要だ。ナイロンタオルやボディブラシで強くこすると、皮膚表面のバリアが傷つき、かゆみや湿疹の悪化につながりやすい。「汚れを落とそう」「角質をとろう」とこする習慣は、敏感な肌にはとくに負担が大きい。
体を洗うときは、手やよく泡立てた洗浄料でやさしく洗い、強い摩擦を避けるのが基本だ。浴後にタオルで拭くときも、ゴシゴシこすらず、やさしく押さえるように水分をとる。この「こすらない」という一点を守るだけでも、肌への負担はかなり変わる。せっかく刺激のおだやかな湯を選んでも、洗い方や拭き方で肌を傷つけてしまっては意味がない。
皮膚疾患のある人にとって、温泉の対策は湯から上がった後まで続く。入浴で皮脂や角質が落ちると、湯上がりにかえって乾燥が進み、つっぱりやかゆみが出やすくなる。とくに「肌がすべすべする」と感じやすい湯は、その分だけ油分も落ちて乾燥しやすい裏返しがある。乾燥はかゆみを誘発し、かくことでさらに悪化するという悪循環につながりやすいため、保湿は欠かせない。
そのため、入浴後はできるだけ早く保湿するのが基本だ。源泉の成分を肌に残したいからと拭かずに放置すると、かえって乾燥が進むこともある。普段から保湿剤を処方されている人は、旅行先にも持参し、いつものケアを続けられるようにしておくとよい。温泉と肌の関係や浴後の乾燥対策の仕組みは温泉と肌の美容科学でも整理している。温泉の心地よさを楽しむことと、肌を守ることは両立して考えたほうが現実的だ。
皮膚疾患のある人は、最初から長く浸かるより、まずごく短時間だけ入って肌の様子を見るほうが負担を抑えやすい。刺激の強いとされる湯や熱い湯ならなおさらで、短く入って一度上がり、問題がなさそうならもう一度短く入る、という分け方が安全だ。肌の相性は一度では判断しにくいこともあるため、初日は控えめにとどめ、問題がなければ翌日に少しだけ様子を見る、といった進め方も実用的だ。
入浴中や入浴後に、ひりつき、かゆみの増強、赤み、強いつっぱり感などの違和感が出たら、無理に続けず湯から上がり、合わないと感じたら中止する。「せっかく来たから」と我慢して入り続けることが、いちばん避けたい入り方だ。また、滲出(じくじく)した患部や感染を伴うとき、症状が悪化しているときは入浴そのものを控え、医療機関を受診してほしい。共同浴場では衛生上のマナーの観点からも、状態が落ち着いてから判断するのが望ましい。敏感肌一般の選び方・入り方は敏感肌の温泉選びもあわせて参考になる。
温泉を皮膚疾患との向き合い方に取り入れる場合でも、それは皮膚科での治療の代わりにはならない。アトピー性皮膚炎や乾癬は継続的な治療と管理が前提となる疾患であり、温泉はあくまで補助的な位置づけとして考えるのが現実的だ。処方された外用薬や治療を自己判断で中断して温泉に頼ることは避けたい。
湯治として一定期間滞在する形で取り入れる場合も、入ってよい状態かどうか、どの程度の頻度や時間が無理ないかを含めて、事前に皮膚科医に相談しておくと安心だ。医師から入浴について指示を受けている場合は、その指示が最優先になる。効果や相性には大きな個人差があるという前提に立ち、合わなければやめる、不安があれば相談する、という姿勢を保つことが、皮膚疾患のある人が温泉と向き合ううえでの基本になる。
「効く」と断定はできません。環境省の枠組みでは一部の泉質の適応症にアトピー性皮膚炎などの記載が含まれますが、これは治療効果を保証するものではなく、合う・合わないには大きな個人差があります。刺激の強い湯ではかえって悪化することもあります。温泉を治療の代わりにせず、入ってよいか・どう入ればよいかも含めて皮膚科医に相談してください。
人や症状の程度、時期によって判断が大きく変わるため、一律に「入れる」「入れない」とは言えません。泉質別適応症に尋常性乾癬の記載がある泉質もありますが、それが自分に合う保証にはなりません。自己判断で頼らず、皮膚科医に相談し、取り入れる場合も短時間から試して合わなければ中止してください。
注意が必要です。酸性泉や硫黄泉は皮膚に関わる適応症を持つ一方、環境省の泉質別禁忌症では「皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症」が挙げられており、刺激が強くかえって悪化させることがあります。詳しくは酸性泉とは何かと硫黄泉とは何かを参照し、不安があれば避けるか、ごく短時間にとどめてください。
入浴で皮脂や角質が落ちると、肌を守る油分も失われやすく、浴後に乾燥やつっぱりが進んでかゆみが出やすくなります。熱い湯や長湯ではこの傾向が強まります。ぬるめの湯に短く入り、こすらず、入浴後は速やかに保湿することで負担を抑えやすくなります。仕組みは温泉と肌の美容科学も参考になります。
滲出(じくじく)した患部や感染を伴う状態での入浴は、しみたり悪化したりするおそれがあり、共同浴場では衛生面の問題もあります。無理に入らず入浴を控え、状態が落ち着くまで待つか、医療機関を受診して判断してください。
アトピー性皮膚炎や乾癬など皮膚疾患のある人にとって、温泉は効くものでも避けるべきものでもなく、合うかどうかの個人差が非常に大きい。環境省の枠組みでは一部の泉質の適応症に皮膚疾患に関わる記載が含まれ、皮膚の湯治の伝統もあるが、それは治療効果の保証ではない。むしろ酸性泉や硫黄泉のような刺激の強い湯は、過敏な肌をかえって悪化させることもある。
実用的な向き合い方は、刺激のおだやかな湯を選び、ぬるめの湯に短く入り、こすらず、浴後は速やかに保湿し、違和感や悪化があれば中止して受診する、という慎重な姿勢だ。そして温泉は皮膚科での治療の代わりではなく、あくまで補助として、主治医と相談しながら取り入れることが欠かせない。効果には個人差があるという前提を忘れず、無理をしないことが、皮膚疾患のある人が温泉と無理なく向き合う基本になる。
アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)などの皮膚疾患がある人にとって、温泉は「効くもの」でも「避けるべきもの」でもなく、合うかどうかの個人差が非常に大きいものだ。結論から言えば、環境省の枠組みでは一部の泉質の適応症に皮膚疾患に関わる記載が含まれ、古くから皮膚の湯治の伝統もある一方で、温泉で病気が治ると言えるわけではなく、泉質や入り方によってはかえって症状を悪化させることもある。
そのため大切なのは、効能を期待しすぎず、刺激の強い湯を避け、短時間から試し、浴後は速やかに保湿し、合わなければ中止する、という慎重な向き合い方だ。そして取り入れる場合も、皮膚科での治療の代わりにするのではなく、あくまで補助として、主治医と相談しながら判断することが欠かせない。この記事では、皮膚疾患のある人が温泉とどう向き合えばよいかを、環境省の公的な枠組みもふまえて中立に整理する。
本記事は一般的な情報であり、医学的な助言ではありません。アトピー性皮膚炎・乾癬・慢性湿疹などの皮膚疾患がある方は、温泉を治療の代わりにせず、入ってよいか・どう入ればよいかも含めて必ず皮膚科医に相談してください。後述する適応症は環境省の枠組み上の記載であって、治療効果を保証するものではありません。効果や合う・合わないには大きな個人差があり、かゆみ・赤み・滲出(じくじく)・感染などがあるときや症状が悪化したときは入浴を控え、医療機関を受診してください。医師から入浴について指示を受けている場合は、その指示が最優先です。
まず公的な枠組みを整理しておきたい。日本では環境省が「鉱泉分析法指針」などで一定の基準を満たした温泉を「療養泉」と定め、療養泉ごとに「適応症」を示している。適応症とは、その温泉の浴用が向くとされる症状や状態のことで、すべての療養泉に共通する「浴用の一般的適応症」と、泉質ごとに定められた「泉質別適応症」がある。
この枠組みの中には、皮膚に関わる記載が含まれる泉質がある。たとえば塩化物泉や硫酸塩泉、硫黄泉などの泉質別適応症には、「アトピー性皮膚炎」「尋常性乾癬」「慢性湿疹」「表皮化膿症」といった皮膚の状態が挙げられている場合がある。実際に、皮膚の不調を抱えた人が温泉地に長く滞在する皮膚の湯治の伝統も各地に残ってきた。
ただし、ここで強調しておきたいのは、適応症はあくまで環境省の枠組み上の記載であって、「その温泉に入れば必ず治る」という治療効果の保証ではないという点だ。療養泉の適応症は、ある程度の期間くり返し利用することを前提とした考え方であり、一回の入浴で効果を断定できるものではない。湯治の考え方そのものについては湯治とはで詳しく扱っている。同じ皮膚疾患でも、その人の症状の程度や時期によって温泉が合うかどうかは大きく変わるため、「適応症に書いてあるから自分にも効く」と単純に受け取らないことが重要だ。
注意したいのは、皮膚疾患に関わる適応症を持つ泉質の中にも、肌が敏感な人には刺激が強すぎる場合があることだ。とくに酸性泉と硫黄泉は、その代表として慎重に扱う必要がある。
環境省は泉質ごとの「泉質別禁忌症」も定めており、酸性泉や硫黄泉については「皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症」が挙げられている。つまり、これらの刺激の強い泉質は、適応症として皮膚疾患に触れる一方で、肌が過敏な人には向きにくいという両面を持つ。同じ泉質が、ある人には合い、別の人には強すぎるということが起こりうるのだ。酸性泉の性質は酸性泉とは何か、硫黄泉については硫黄泉とは何かでそれぞれ詳しく説明している。
実際に、酸性度の強い湯ではしみる、ひりつくといった刺激を感じやすく、皮膚のバリアが弱っている状態では負担になりやすい。「皮膚に効くと聞いたから刺激の強い湯を選ぶ」という発想はむしろ逆効果になりうる。皮膚疾患があり不安がある人ほど、まずは刺激のおだやかとされる泉質から、ごく短時間で試すのが無難だ。どの泉質でも合うとは限らないため、最終的な判断は皮膚科医に委ねたい。禁忌の考え方の全体像は温泉の禁忌症にまとめている。
皮膚疾患のある人が気にしたいのは、泉質だけではない。同じ湯でも、温度・入浴時間・体の洗い方・浴後のケアによって肌が受ける負担は大きく変わる。これらは施設や泉質を問わず自分で調整できる部分であり、泉質選びに迷ったときでも負担を抑えるカギになる。次の表に、注意点と対策を整理する。
| 観点 | なぜ負担になりやすいか | 対策(目安・個人差あり) |
|---|---|---|
| 泉質 | 酸性泉・硫黄泉など刺激の強い湯は過敏な肌の負担になりやすい | おだやかとされる湯を選ぶ。刺激の強い湯は避けるか、ごく短時間で試す |
| 温度 | 熱い湯はかゆみを誘発し、乾燥も進めやすい | ぬるめの湯を選び、熱い湯・長湯を避ける |
| 入浴時間 | 長く浸かるほど皮脂が落ち、乾燥やかゆみにつながりやすい | 短く区切り、休憩をはさんで様子を見る |
| 洗い方・拭き方 | こすると皮膚のバリアを傷つけ、悪化の引き金になりやすい | ナイロンタオルでゴシゴシこすらない。やさしく押さえて拭く |
| 浴後のケア | 浴後は急速に乾燥が進み、つっぱりやかゆみが出やすい | 入浴後は速やかに保湿する |
| 悪化時 | 滲出・感染・強いかゆみがあるときの入浴は悪化を招きやすい | 無理に入らず入浴を控え、医療機関を受診する |
このうち温度・入浴時間・洗い方・浴後のケアは、どの温泉でも自分で意識できる。とくに熱い湯と長湯はかゆみと乾燥の両方を進めやすいため、ぬるめの湯に短く入るのが基本になる。
皮膚疾患のある人にとって、体の洗い方と拭き方は泉質選びと同じくらい重要だ。ナイロンタオルやボディブラシで強くこすると、皮膚表面のバリアが傷つき、かゆみや湿疹の悪化につながりやすい。「汚れを落とそう」「角質をとろう」とこする習慣は、敏感な肌にはとくに負担が大きい。
体を洗うときは、手やよく泡立てた洗浄料でやさしく洗い、強い摩擦を避けるのが基本だ。浴後にタオルで拭くときも、ゴシゴシこすらず、やさしく押さえるように水分をとる。この「こすらない」という一点を守るだけでも、肌への負担はかなり変わる。せっかく刺激のおだやかな湯を選んでも、洗い方や拭き方で肌を傷つけてしまっては意味がない。
皮膚疾患のある人にとって、温泉の対策は湯から上がった後まで続く。入浴で皮脂や角質が落ちると、湯上がりにかえって乾燥が進み、つっぱりやかゆみが出やすくなる。とくに「肌がすべすべする」と感じやすい湯は、その分だけ油分も落ちて乾燥しやすい裏返しがある。乾燥はかゆみを誘発し、かくことでさらに悪化するという悪循環につながりやすいため、保湿は欠かせない。
そのため、入浴後はできるだけ早く保湿するのが基本だ。源泉の成分を肌に残したいからと拭かずに放置すると、かえって乾燥が進むこともある。普段から保湿剤を処方されている人は、旅行先にも持参し、いつものケアを続けられるようにしておくとよい。温泉と肌の関係や浴後の乾燥対策の仕組みは温泉と肌の美容科学でも整理している。温泉の心地よさを楽しむことと、肌を守ることは両立して考えたほうが現実的だ。
皮膚疾患のある人は、最初から長く浸かるより、まずごく短時間だけ入って肌の様子を見るほうが負担を抑えやすい。刺激の強いとされる湯や熱い湯ならなおさらで、短く入って一度上がり、問題がなさそうならもう一度短く入る、という分け方が安全だ。肌の相性は一度では判断しにくいこともあるため、初日は控えめにとどめ、問題がなければ翌日に少しだけ様子を見る、といった進め方も実用的だ。
入浴中や入浴後に、ひりつき、かゆみの増強、赤み、強いつっぱり感などの違和感が出たら、無理に続けず湯から上がり、合わないと感じたら中止する。「せっかく来たから」と我慢して入り続けることが、いちばん避けたい入り方だ。また、滲出(じくじく)した患部や感染を伴うとき、症状が悪化しているときは入浴そのものを控え、医療機関を受診してほしい。共同浴場では衛生上のマナーの観点からも、状態が落ち着いてから判断するのが望ましい。敏感肌一般の選び方・入り方は敏感肌の温泉選びもあわせて参考になる。
温泉を皮膚疾患との向き合い方に取り入れる場合でも、それは皮膚科での治療の代わりにはならない。アトピー性皮膚炎や乾癬は継続的な治療と管理が前提となる疾患であり、温泉はあくまで補助的な位置づけとして考えるのが現実的だ。処方された外用薬や治療を自己判断で中断して温泉に頼ることは避けたい。
湯治として一定期間滞在する形で取り入れる場合も、入ってよい状態かどうか、どの程度の頻度や時間が無理ないかを含めて、事前に皮膚科医に相談しておくと安心だ。医師から入浴について指示を受けている場合は、その指示が最優先になる。効果や相性には大きな個人差があるという前提に立ち、合わなければやめる、不安があれば相談する、という姿勢を保つことが、皮膚疾患のある人が温泉と向き合ううえでの基本になる。
「効く」と断定はできません。環境省の枠組みでは一部の泉質の適応症にアトピー性皮膚炎などの記載が含まれますが、これは治療効果を保証するものではなく、合う・合わないには大きな個人差があります。刺激の強い湯ではかえって悪化することもあります。温泉を治療の代わりにせず、入ってよいか・どう入ればよいかも含めて皮膚科医に相談してください。
人や症状の程度、時期によって判断が大きく変わるため、一律に「入れる」「入れない」とは言えません。泉質別適応症に尋常性乾癬の記載がある泉質もありますが、それが自分に合う保証にはなりません。自己判断で頼らず、皮膚科医に相談し、取り入れる場合も短時間から試して合わなければ中止してください。
注意が必要です。酸性泉や硫黄泉は皮膚に関わる適応症を持つ一方、環境省の泉質別禁忌症では「皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症」が挙げられており、刺激が強くかえって悪化させることがあります。詳しくは酸性泉とは何かと硫黄泉とは何かを参照し、不安があれば避けるか、ごく短時間にとどめてください。
入浴で皮脂や角質が落ちると、肌を守る油分も失われやすく、浴後に乾燥やつっぱりが進んでかゆみが出やすくなります。熱い湯や長湯ではこの傾向が強まります。ぬるめの湯に短く入り、こすらず、入浴後は速やかに保湿することで負担を抑えやすくなります。仕組みは温泉と肌の美容科学も参考になります。
滲出(じくじく)した患部や感染を伴う状態での入浴は、しみたり悪化したりするおそれがあり、共同浴場では衛生面の問題もあります。無理に入らず入浴を控え、状態が落ち着くまで待つか、医療機関を受診して判断してください。
アトピー性皮膚炎や乾癬など皮膚疾患のある人にとって、温泉は効くものでも避けるべきものでもなく、合うかどうかの個人差が非常に大きい。環境省の枠組みでは一部の泉質の適応症に皮膚疾患に関わる記載が含まれ、皮膚の湯治の伝統もあるが、それは治療効果の保証ではない。むしろ酸性泉や硫黄泉のような刺激の強い湯は、過敏な肌をかえって悪化させることもある。
実用的な向き合い方は、刺激のおだやかな湯を選び、ぬるめの湯に短く入り、こすらず、浴後は速やかに保湿し、違和感や悪化があれば中止して受診する、という慎重な姿勢だ。そして温泉は皮膚科での治療の代わりではなく、あくまで補助として、主治医と相談しながら取り入れることが欠かせない。効果には個人差があるという前提を忘れず、無理をしないことが、皮膚疾患のある人が温泉と無理なく向き合う基本になる。