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泉質・科学編

酸性泉:日本の火山活動が生む殺菌力の高い温泉|pH値と効能を解説

活発な火山活動が生む酸性泉の特徴を解説。pH値と肌への刺激、強力な殺菌作用を持つ日本の特殊な温泉を紹介します。

酸性泉は、pH3未満の強い酸性の温泉だ。ピリピリとした刺激があり、他の泉質では味わえない独特の体験ができる。火山活動が活発な日本ならではの、特殊な温泉である。

酸性泉とは何か

酸性泉とは、pH3未満の温泉を指す。pHは酸性・アルカリ性の度合いを示す指標で、7が中性、7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性となる。

pH3というのは、レモン汁やお酢と同じくらいの強い酸性だ。その強さゆえに、独特の刺激と優れた殺菌効果を持つ。

見た目と特徴

: 透明から白濁 匂い: 硫黄臭がすることもある 触感: ピリピリとした刺激 pH: pH3未満(pH2以下は特に強い)

肌に触れると、明らかにピリピリする。この刺激が、酸性泉の特徴だ。

なぜピリピリするのか

酸性泉のピリピリ感は、強い酸性が皮膚を刺激しているためだ。

レモン汁を傷口に付けると痛いのと同じ原理だ。ただし、慣れてくると、この刺激が心地よく感じられるようになる。肌が引き締まる感覚が気持ちいい。

強力な殺菌効果

酸性泉の最大の特徴は、強力な殺菌効果だ。

強い酸性が、細菌やカビを死滅させる。水虫、アトピー性皮膚炎、慢性皮膚病に効果があるとされている。昔から「皮膚病の湯」として利用されてきた。

主な効能

酸性泉の一般的適応症:

  • 慢性皮膚病、アトピー性皮膚炎
  • 水虫
  • 慢性婦人病
  • 糖尿病
  • 神経痛、筋肉痛、関節痛

殺菌効果に加えて、血行促進作用もある。

注意点

酸性泉は、刺激が強いため注意が必要だ。

肌が弱い人は要注意: ピリピリ感が強すぎる場合は、すぐに上がること。肌荒れの原因になる。

入浴後は真水で洗い流す: 強い酸性が肌に残ったままだと、肌荒れの原因になる。入浴後は、必ず真水で体を洗い流すこと。

金属製アクセサリーは外す: 酸性が金属を腐食させてしまう。必ず外してから入浴すること。

長時間入浴は避ける: 10分程度が目安。長時間浸かると、肌への負担が大きい。

歯のエナメル質に注意: 飲泉できる酸性泉もあるが、酸が歯のエナメル質を溶かす可能性がある。飲泉後は、真水で口をすすぐこと。

日本三大強酸性泉

草津温泉(群馬県): pH2.1という強酸性。日本を代表する酸性泉。

玉川温泉(秋田県): pH1.2と日本一の強酸性温泉。

蔵王温泉(山形県): pH1.5〜1.6の強酸性。スキー場と温泉の組み合わせで人気。

その他の代表的な酸性泉

那須湯本温泉(栃木県): 強酸性の硫黄泉。

酸ヶ湯温泉(青森県): 強酸性の硫黄泉。

こんな人におすすめ

刺激的な温泉が好きな人、水虫に悩む人、アトピー性皮膚炎に悩む人、他にはない体験をしたい人。酸性泉は、刺激を求める人に最適だ。

初めて入る人へ

酸性泉を初めて体験する人は、まず短時間(5分程度)から始めることをおすすめする。

体が酸性泉に慣れてきたら、徐々に時間を延ばしていく。ピリピリ感が強すぎると感じたら、無理せずに出ること。肌の様子を見ながら、自分に合った入浴時間を見つけていこう。

まとめ

酸性泉は、日本の活発な火山活動が生んだ特殊な温泉だ。pH3未満の強い酸性が、ピリピリとした独特の刺激と、強力な殺菌効果を生み出す。

刺激的で、他の泉質では味わえない体験ができる。ただし、肌への負担も大きいため、入浴後は必ず真水で洗い流すこと。日本ならではの強酸性温泉を、安全に楽しんでほしい。