別府温泉では、毎分137,000リットルもの温泉が湧き出ている。1日に換算すると、約20万トン。この膨大な量が、毎日、毎日、湧き続けている。
日本各地の温泉地では、信じられないほど大量の温泉が湧き出る。なぜ、こんなに大量の温泉が湧き出るのか。なぜ、枯れないのか。その秘密を解説していこう。
温泉の湧出量とは何か
温泉の湧出量とは、1分間に湧き出る温泉の量を指す。単位は「リットル/分」または「キロリットル/分」だ。
湧出量が多いほど、豊富な温泉を楽しめる。源泉かけ流しの温泉が多くなる。
日本の温泉湧出量ランキング
日本で最も湧出量が多い温泉地は、どこか。トップ5を紹介しよう。
1位:別府温泉(大分県)
湧出量: 約137,000リットル/分(日本一)
別府温泉は、日本で最も湧出量が多い温泉地だ。別府市内には、約2,300の源泉がある。「温泉県おおいた」の象徴だ。
2位:由布院温泉(大分県)
湧出量: 約86,000リットル/分
由布院温泉も、大分県にある。静かで落ち着いた温泉地として人気だが、湧出量は日本第2位だ。
3位:草津温泉(群馬県)
湧出量: 約32,300リットル/分
草津温泉は、日本三名泉の一つ。「自然湧出量」では日本一とされる。ポンプで汲み上げることなく、自然に湧き出る量が最も多い。
4位:道後温泉(愛媛県)
湧出量: 約20,000リットル/分
道後温泉は、日本三古湯の一つ。3,000年の歴史を持ちながら、今も豊富な湧出量を誇る。
5位:登別温泉(北海道)
湧出量: 約10,000リットル/分
登別温泉は、9種類の泉質が楽しめる温泉地。湧出量も豊富だ。
自然湧出と動力揚湯
温泉の湧出には、2つの方法がある。
自然湧出: ポンプなしで、自然に湧き出る温泉。
動力揚湯: ポンプで地下から汲み上げる温泉。
草津温泉は、自然湧出量が日本一だ。ポンプなしで、毎分32,300リットルが湧き出る。これは、驚異的な数字だ。
なぜ大量の温泉が湧き出るのか
大量の温泉が湧き出る理由は、火山活動と地質にある。
火山活動
火山の下には、マグマがある。このマグマが、地下水を加熱する。加熱された地下水は、圧力が高まり、地表に噴き出す。
別府温泉、草津温泉、登別温泉など、湧出量が多い温泉地は、いずれも火山の近くにある。
地質
温泉が湧き出るためには、地下に十分な水が必要だ。雨水や雪解け水が、地下に浸透する。これが温泉の源だ。
日本は雨が多く、地下水が豊富だ。これも、温泉が湧き出る理由の一つだ。
湧出量と源泉かけ流し
湧出量が多い温泉地では、源泉かけ流しの温泉が多い。
源泉かけ流しとは、湧き出た温泉をそのまま浴槽に流し、常に新しい温泉を供給する方式だ。循環させない。加水しない。加温しない(または最小限)。
これが、最も贅沢な温泉の入り方だ。
草津温泉では、ほとんどの温泉施設が源泉かけ流しだ。毎分32,300リットルもの湧出量があるからこそ、可能なのだ。
湧出量が少ない温泉は?
逆に、湧出量が少ない温泉もある。
湧出量が少ない温泉では、循環濾過方式を採用していることが多い。一度使った温泉を濾過して、再び浴槽に戻す。
これは、限られた温泉を有効活用するための方法だ。決して「悪い」わけではない。ただし、源泉かけ流しと比べると、新鮮さは劣る。
温泉は枯れないのか
「こんなに大量の温泉が湧き出ていて、枯れないのか?」と疑問に思うだろう。
実は、温泉が枯れることはある。過度な汲み上げによって、地下水が枯渇するケースだ。
しかし、自然湧出の温泉は、枯れにくい。雨水や雪解け水が地下に浸透し、常に補給されているためだ。火山活動が続く限り、温泉は湧き続ける。
草津温泉は、1,000年以上も湧き続けている。今後も、湧き続けるだろう。
湧出量を守る取り組み
温泉地では、湧出量を守るための取り組みが行われている。
掘削の制限: 新たな温泉井戸の掘削を制限する。
汲み上げ量の管理: 動力揚湯の温泉は、汲み上げ量を管理する。
環境保護: 森林を守り、地下水の涵養(かんよう)を促進する。
これらの取り組みによって、日本の温泉は守られている。
湧出量で温泉を選ぶ
湧出量が多い温泉地を訪れれば、豊富な源泉かけ流しを楽しめる。
別府温泉、由布院温泉、草津温泉、道後温泉、登別温泉。これらの温泉地は、湧出量が多く、源泉かけ流しの施設が豊富だ。
「本物の温泉」を体験したいなら、湧出量が多い温泉地を選ぼう。
まとめ
日本の温泉は、世界トップクラスの湧出量を誇る。別府温泉は毎分137,000リットル、草津温泉は毎分32,300リットル(自然湧出量日本一)が湧き出る。
火山活動と豊富な地下水が、大量の温泉を生み出す。湧出量が多い温泉地では、贅沢な源泉かけ流しを楽しめる。
温泉は、雨水や雪解け水によって常に補給されている。適切に管理すれば、温泉は枯れることなく湧き続ける。日本の温泉は、大地からの永遠の贈り物なのだ。
