温泉まんじゅうは温泉地の定番土産として親しまれる蒸し饅頭。茶色い皮の理由、群馬・伊香保温泉の「湯の花まんじゅう」を発祥とする説、全国に広まった経緯、地域ごとの個性を、勝月堂の社史などの一次情報をふまえて整理します。
公開日: 2025.12.22
温泉まんじゅうは、日本の温泉地で定番の土産として売られている蒸し饅頭である。茶色い皮の中にあんこが入った小ぶりな丸い形が一般的で、温泉街の和菓子店や駅前の土産店、旅館の売店で広く見かける。名前に「温泉」と付くが、温泉の湯そのものが中に入っているわけではない。温泉地の名物として広まり、温泉旅行の土産として全国に定着したことから、この名で呼ばれるようになった菓子である。
結論を先に言えば、温泉まんじゅうの正体は「温泉地で育った茶色い蒸し饅頭の文化」である。あの茶褐色の皮は、群馬県の伊香保温泉で湯の花(湯に含まれる成分が固まったもの)の色に似せて作られたのが始まりとされ、その色を出すために黒糖が使われたと伝えられる。発祥とされる店の饅頭が昭和に全国へ知れ渡り、各地の温泉地で同じような茶色い饅頭が作られて「温泉まんじゅう」という呼び名が一般化した、という流れが背景にある。
この記事では、温泉まんじゅうの基本、茶色い皮の理由と発祥の経緯、地域ごとの個性、温泉街での買い方を順に整理する。なお本記事は土産・食文化の解説であり、健康や美容の効能を扱うものではない。
温泉まんじゅうは、小麦粉などの生地であんを包んで蒸した、いわゆる蒸し饅頭の一種である。見た目は小ぶりで丸く、皮は薄い茶色から濃い茶色、中心にはこしあんや粒あんが入っているものが多い。一口から二口ほどで食べられる大きさで、温泉街を歩きながら食べやすい。
販売形態は二通りある。ひとつは箱入りの土産用で、個包装にして職場や家族へ配るのに向く。もうひとつは一個単位のばら売りで、店先で蒸したてを売る実演販売も多い。蒸籠(せいろ)から立ちのぼる湯気とともに売られる光景は、温泉街の風物詩のひとつになっている。蒸したては皮がやわらかく、香りも立つため、その場で食べる楽しみがある。
味の傾向としては、皮にほんのりとした甘さや香ばしさがあり、あんは甘さ控えめに仕立てる店も多い。緑茶と合わせやすく、年齢を問わず食べやすい点も、土産として広く受け入れられてきた理由である。
温泉まんじゅうを特徴づけるのが、あの茶褐色の皮である。この色には由来があるとされる。
発祥については、群馬県の伊香保温泉にある「勝月堂」の湯の花まんじゅうを始まりとする説が広く知られている。同店の社史などによれば、明治43年(1910年)に初代・半田勝三が、伊香保の湯の色に似せた独特の饅頭を作るよう勧められ、茶褐色の「湯乃花饅頭」を考案したと伝えられる。伊香保の湯は鉄分を含み赤茶色を帯びることで知られ、その湯の花の色を再現しようとしたのが茶色い皮の出発点だという。
色を出す材料には黒糖が使われた。当初は源泉や湯の花そのものを生地に用いる試みもあったが良い結果が得られず、当時入手しやすくなっていた黒糖を使って茶褐色を出した、と説明されている。つまり「茶色いのは温泉成分が入っているから」ではなく、「温泉の色を黒糖で表現したから」というのが、発祥とされる店に伝わる経緯である。現在も黒糖や赤糖(粗糖)を使って皮に色と風味を付ける温泉まんじゅうは多い。
全国に広まったきっかけとしては、昭和9年(1934年)に群馬県を中心に行われた陸軍特別大演習が挙げられる。来県した昭和天皇に群馬県が湯乃花まんじゅうを献上し、これが口コミや新聞で評判となって全国に知れ渡ったとされる。その後、各地の温泉地で茶色い蒸し饅頭が作られるようになり、「温泉まんじゅう」という呼び名が定着していった、というのが一般に語られる流れである。ただしこれらは諸説あり、年代や経緯には伝承の要素も含まれるため、断定はできない。
ひとくちに温泉まんじゅうといっても、皮の素材やあんの種類、製法は地域や店によってかなり異なる。代表的な分類を整理すると次のようになる。
| 種類 | 皮の特徴 | 傾向 |
|---|---|---|
| 黒糖まんじゅう(温泉まんじゅうの定番) | 黒糖や赤糖で茶褐色、コクと香ばしさ | 温泉地で最も広く見られる |
| 薄皮まんじゅう | 皮が薄く、あんの比率が高い | あんの味が前に出る |
| 茶まんじゅう | 抹茶や茶を生地に使い、緑がかる場合も | 茶どころの土産で見かける |
| 酒まんじゅう | 酒種(米麹)で発酵させた皮、ふくらみと風味 | 蒸したての香りが特徴 |
実際の温泉地では、こうした違いが土地の個性として現れる。たとえば草津温泉では老舗が古くから蒸し饅頭を売り、薄い褐色の皮を特徴としてきたと伝えられる。発祥とされる伊香保では、黒糖の茶褐色の皮に北海道産小豆のこしあんを合わせる店が知られる。同じ温泉街でも複数の店が饅頭を扱い、皮の濃さ・あんの甘さ・蒸したての提供の有無で食べ比べができる地域も多い。
温泉まんじゅうは、見た目だけなら普通の蒸し饅頭と大きく変わらないこともある。違いは「温泉地の定番土産として発展してきたこと」と「湯の色に由来する茶色い皮の系譜を引く商品が多いこと」にある。完全に別ジャンルの菓子というより、温泉地が育てた饅頭文化と理解すると自然である。
温泉まんじゅうは、温泉旅行の記憶を持ち帰る土産として扱われることが多い。初めて買うなら、その場で食べる分とお土産用を分けて考えると失敗しにくい。
蒸したてを売る店があれば、まず一個買って食べてみるとよい。皮のやわらかさや黒糖の香りは、できたてが最もよくわかる。気に入れば箱入りを買って持ち帰る、という順番なら好みに合わせやすい。選ぶときは、皮の色と香り(黒糖が強い店は色が濃い)、あんの種類(こしあんか粒あんか)、賞味期限の三点を見ると比べやすい。蒸し饅頭は日持ちが短い商品が多いため、帰宅日や持ち歩き時間も考えて選びたい。
温泉まんじゅうは、温泉・サウナのあとに軽くつまむ甘味としても親しまれる。湯上がりの食の流れは温泉・サウナ後の食事と水分補給で整理している。また、温泉地で「温泉」の名を冠する食べ物としては温泉卵の作り方と科学も合わせて読むと、温泉地の食文化の広がりが見えてくる。温泉まんじゅうを目当てに温泉地を訪ねたい場合は、施設一覧から訪問先を探せる。
基本的に温泉の湯そのものが入っているわけではありません。温泉地の名物として広まった蒸し饅頭であり、「温泉地で売られる饅頭」として定着したことが名前の由来とされます。発祥の店では湯の色を再現する過程で源泉を生地に使う試みもあったと伝えられますが、現在の多くは黒糖などで茶色い皮を作っています。
発祥とされる伊香保温泉の湯の花の色(鉄分を含む茶褐色)に似せて作られたのが始まりとされ、その色を出すために黒糖が使われたと伝えられます。現在も黒糖や赤糖を使って皮に色と風味を付ける商品が多く、これが茶色い皮の系譜になっています。
群馬県の伊香保温泉にある勝月堂の「湯の花まんじゅう」を発祥とする説が広く知られています。明治43年(1910年)に考案されたと伝えられますが、年代や経緯には諸説があり、確定した史実として断定はできません。
目的が違います。蒸したては皮がやわらかく香りも立つため、その場で味わうのに向きます。家族や友人と分けるなら箱入りの土産が向きます。初めてなら一個食べて気に入ってから箱を買うと、好みに合わせやすく失敗が少ないです。
温泉街の和菓子店、駅前や観光施設の土産店、旅館の売店などで広く売られています。有名な温泉地では複数の店が扱い、皮やあんの違いを食べ比べできる地域もあります。
温泉まんじゅうは、温泉地で定番の土産として親しまれてきた茶色い蒸し饅頭である。あの茶褐色の皮は、群馬県の伊香保温泉で湯の花の色に似せて作られたのが始まりとされ、その色を出すために黒糖が使われたと伝えられる。発祥とされる店の饅頭が昭和に全国へ知れ渡り、各地で同様の茶色い饅頭が作られて「温泉まんじゅう」の呼び名が広まった、というのが一般に語られる経緯である。
温泉そのものが入っているわけではないが、湯の色に由来する皮を引き継ぎ、温泉旅行の記憶と結びついた菓子として定着してきた。温泉街で見かけたら、まずは蒸したてを一個試し、気に入れば土産用を選ぶとよい。温泉まんじゅうは、日本の温泉地が育てた食文化の定番である。