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泉質・科学編

炭酸水素塩泉:日本の「美人の湯」の科学|美肌効果のメカニズムを解説

なぜ「美人の湯」と呼ばれるのか、肌がツルツルになる科学的メカニズムを解説。日本人が愛する美肌温泉の秘密を紹介します。

「美人の湯」「美肌の湯」という愛称で呼ばれることが多い炭酸水素塩泉。女性に人気が高いが、もちろん男性にとっても美肌は嬉しい。では、なぜ「美人の湯」と呼ばれるのか。その科学的メカニズムを解説していこう。

炭酸水素塩泉とは何か

炭酸水素塩泉とは、炭酸水素イオンを一定量以上含む温泉を指す。温泉水1kg中に炭酸水素イオンが1,000mg以上含まれる場合、炭酸水素塩泉と分類される。

ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどと結びついた炭酸水素イオンが、この温泉の主成分だ。

見た目と特徴

: 透明から白濁 匂い: ほとんど無臭 触感: ヌルヌル、すべすべ pH: 弱アルカリ性が多い

触ると明らかにヌルヌルする。この独特のヌルヌル感が特徴だ。

なぜ美肌効果があるのか

炭酸水素塩泉は、弱アルカリ性であることが多い。このアルカリ性が、皮膚の古い角質を柔らかくして取り除いてくれる。つまり、天然のピーリング効果があるわけだ。

入浴中からヌルヌルと肌が滑らかになるのを感じる。そして、風呂から上がると、肌がすべすべになっている。この感覚は、一度体験したら病みつきになる。

美肌効果のメカニズム

アルカリ性の温泉は、皮膚表面の皮脂を乳化させる作用がある。皮脂が乳化されると、毛穴の汚れや古い角質が落ちやすくなる。これが、「美肌効果」の正体だ。

さらに、炭酸水素イオンが皮膚を柔らかくする。この二重の効果が、すべすべの肌を作り出す。

注意点:入浴後の乾燥

ただし、注意点が一つある。炭酸水素塩泉は、入浴後に肌が乾燥しやすい。

せっかく古い角質を取り除いたのに、保湿をしないともったいない。入浴後は、必ず保湿クリームを塗ることをおすすめする。

主な効能

炭酸水素塩泉の一般的適応症:

  • 切り傷、やけど
  • 慢性皮膚病
  • 美肌効果
  • 神経痛、筋肉痛
  • 関節痛、五十肩
  • 運動麻痺、関節のこわばり

美肌効果に加えて、切り傷ややけどにも効果があるとされている。

日本三大美肌の湯

嬉野温泉(佐賀県): 日本三大美肌の湯の一つ。ナトリウム-炭酸水素塩泉。

斐乃上温泉(島根県): アルカリ性の美肌の湯。

龍神温泉(和歌山県): ナトリウム-炭酸水素塩泉。

この3つは「日本三大美肌の湯」として有名だ。すべて炭酸水素塩泉である。

その他の代表的な炭酸水素塩泉

川中温泉(群馬県): 強アルカリ性で知られる美肌の湯。

小谷温泉(長野県): 「美人の湯」として人気。

こんな人におすすめ

美肌を目指す人、肌をすべすべにしたい人、ヌルヌル感が好きな人。炭酸水素塩泉は、肌に優しい温泉を求める人に最適だ。

入浴のコツ

炭酸水素塩泉の美肌効果を最大限に活かすには、入浴後の保湿が重要だ。

入浴中に古い角質が取り除かれた肌は、非常に乾燥しやすい状態になっている。入浴後、すぐに保湿クリームを塗ることで、美肌効果が持続する。

また、長時間の入浴は避ける。10〜15分程度が適切だ。長時間浸かると、肌のバリア機能が低下してしまう。

まとめ

炭酸水素塩泉は、日本が誇る「美人の湯」だ。アルカリ性の作用により、皮膚の古い角質を取り除き、肌をすべすべにする。

美肌を目指す人には、炭酸水素塩泉が最適だ。ただし、入浴後の保湿を忘れずに。日本三大美肌の湯を巡る旅も、温泉好きには楽しい体験となるだろう。美肌効果を実感できる温泉を、ぜひ体験してほしい。