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飲泉とは:許可された温泉を少量味わう作法と注意点

飲泉とは何かを、環境省の鉱泉分析法指針が定める「飲用の適応症」「飲用の禁忌症」という枠組みにもとづいて解説。飲用許可が必要な理由、塩化物泉・含鉄泉・硫酸塩泉・炭酸水素塩泉など泉質ごとの味の違い、腎臓病・高血圧・妊娠中・甲状腺疾患など注意が必要な人、飲み方の基本を中立的に整理します。

公開日: 2025.12.22

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飲泉とは:許可された温泉を少量味わう作法と注意点

飲泉とは何かを、環境省の鉱泉分析法指針が定める「飲用の適応症」「飲用の禁忌症」という枠組みにもとづいて解説。飲用許可が必要な理由、塩化物泉・含鉄泉・硫酸塩泉・炭酸水素塩泉など泉質ごとの味の違い、腎臓病・高血圧・妊娠中・甲状腺疾患など注意が必要な人、飲み方の基本を中立的に整理します。

公開日: 2025.12.22

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この記事の目次

  1. 1飲泉とは何か:内側から温泉を利用する文化
  2. 2どの温泉でも飲めるわけではない:飲用には許可が必要
  3. 3環境省の枠組み:飲用にも「適応症」と「禁忌症」がある
  4. 4飲泉所では何をするのか
  5. 5泉質によって味は変わる
  6. 6注意が必要な人:飲泉を控えるべきケース
  7. 7飲み方の基本
  8. 8よくある質問
  9. 9まとめ
  10. 10出典

飲泉とは、飲用が認められた温泉を少量飲むことを指す。日本の温泉地では古くから見られる習慣だが、どの温泉でも自由に飲めるわけではなく、旅行者は条件と注意点を理解しておく必要がある。

結論から言えば、飲泉は「飲泉所で、飲用が許可された温泉を、少量だけ味わう」ものと考えるのが安全である。浴槽に張られた湯や、掲示のない源泉を勝手に飲むのとはまったく別の行為であり、効能を期待しすぎるより、温泉文化の一部として、また温泉の成分を味覚で知る体験として慎重に試す姿勢が大切だ。本記事では、飲泉が許可制である理由、環境省が定める「飲用の適応症・禁忌症」という枠組み、泉質ごとの味の違い、注意が必要な人、飲み方の基本を整理する。泉質そのものの全体像は温泉の泉質ガイドに譲る。

本記事は一般的な情報であり、特定の治療効果や健康効果を保証するものではありません。飲泉は、飲用可と明示された施設でのみ行えます。腎臓病・高血圧・心疾患・消化器疾患のある方、塩分やミネラルの摂取制限がある方、妊娠中の方、子ども・高齢者は、飲泉を控えるか事前に医師へ相談してください。とくに含よう素泉は甲状腺の病気がある方の飲泉に注意が必要です。飲泉は医療の代わりにはなりません。

飲泉とは何か:内側から温泉を利用する文化

飲泉は、温泉を入浴だけでなく内側からも利用するという考え方に基づく文化で、湯治と結びついて発展してきた。温泉地に逗留しながら体を整える湯治の伝統のなかで、入浴と並ぶ利用法として各地に飲泉所が設けられてきた歴史がある。

ただし現代では、誰でも自由に行ってよい行為ではない。飲泉できるのは、衛生面や成分面で飲用に適すると判断され、行政の許可を受けた温泉に限られる。旅行者にとっては、まず「飲泉所があるか」「飲用可と表示されているか」を確認することが出発点になる。表示のない源泉や浴槽の湯を口にするのは、衛生上も成分上も避けるべきだ。

どの温泉でも飲めるわけではない:飲用には許可が必要

ここが最も重要な点である。温泉地に湧いている湯でも、すべてが飲泉可能とは限らない。温泉を飲用に供する場合には、温泉法にもとづき都道府県知事の許可が必要とされ、水質検査などの基準を満たした温泉だけが飲用を認められる。掲示や案内のない源泉を勝手に飲むことは、こうした管理の枠組みの外にある行為だ。

入浴と飲泉がまったく別の利用方法である点も押さえておきたい。同じ温泉でも、入浴は許可されていても飲用は許可されていない、ということは珍しくない。湯に浸かれるからといって飲めるわけではなく、逆に飲める温泉でも量や回数には目安が定められていることが多い。飲めるかどうかは、その場の掲示と現地のルールに従って判断する必要がある。

環境省の枠組み:飲用にも「適応症」と「禁忌症」がある

温泉の効能が語られるとき、その多くは環境省の「鉱泉分析法指針」や「療養泉の定義と分類」が示す枠組みに由来する。療養泉には浴用の適応症・禁忌症が定められているが、これとは別に、飲用についても飲用の適応症と飲用の禁忌症が定められている。たとえば慢性消化器病や便秘などが飲用の適応症として挙げられる一方、腎臓病や高血圧など、飲泉を避けるべき状態も禁忌症として整理されている。

ここで理解しておきたいのは、適応症はあくまで一定期間くり返し利用することを前提に考えられたもので、1回飲んで効果を保証するものではない、という点だ。個人差も大きく、本記事では効能を断定しない。むしろ飲用には禁忌症が定められているという事実こそ、飲泉が「少しなら誰でも安全」とは言えないことを示している。掲示された案内に適応症が書かれていても、それを自分の症状にそのまま当てはめるのは適切ではない。

飲泉所では何をするのか

飲泉所では、湧き出る温泉を少量コップなどで受けて飲む。多くの場合、案内板に泉質名、主な成分、飲用の適応症・禁忌症、1回あたりの目安量や1日の上限が記されている。これらは飲用許可を受けた施設が掲げているもので、飲む前に必ず目を通したい。

旅行者にとっては、飲む行為そのものより「温泉の成分を味覚で知る場」として理解すると分かりやすい。入浴だけでは分かりにくい温泉の個性を、味や匂いから具体的に感じられるのが飲泉所の面白さだ。温泉分析書に並ぶ成分名が、塩味や鉄の風味として実感できるようになる。

泉質によって味は変わる

飲用が許可された温泉では、含まれる成分によって味や匂いがはっきり異なる。慣れていない旅行者には、想像以上に個性的に感じられることも多い。代表的な泉質と、現地でよく語られる味の傾向、飲用に関して一般に紹介される事柄を整理すると次のようになる。ただし、適応症は環境省の枠組みで語られる一般論であり、本記事が個別の効果を保証するものではない。

泉質味・風味の傾向飲用で一般に語られること詳しい解説
塩化物泉塩味塩分を含むため、塩分制限のある人は特に注意が必要とされる泉質ガイド
含鉄泉鉄・金属のような風味空気にふれると色づきやすく、独特の味と語られる泉質ガイド
硫酸塩泉苦味胆道機能障害・高コレステロール血症・便秘などが飲用の適応症として挙げられる硫酸塩泉とは
炭酸水素塩泉さっぱり・やや苦味飲用に供される温泉地もあるが、量や禁忌は施設の案内に従う泉質ガイド
含よう素泉消毒液様の風味のこともヨウ素を含み、甲状腺疾患のある人は自己判断で飲まない含よう素泉とは

味が強いから効く、まずいから効き目がある、という単純な話ではない。味はあくまで成分の表れであり、効果をそのまま示すものではない。泉質ごとの飲用の適応症や注意点は、それぞれの記事で詳しく扱う。

注意が必要な人:飲泉を控えるべきケース

飲用には禁忌症が定められている以上、誰にとっても安全とは限らない。次に当てはまる人は、飲泉を控えるか、事前に医療者へ相談することがすすめられる。

腎臓病・高血圧・心疾患のある人は、塩化物泉など塩分を含む温泉の飲用に注意が必要だ。消化器疾患のある人、塩分やミネラルの摂取に制限がある人も同様である。妊娠中の人、子ども、高齢者も、成分や量の影響を受けやすいため慎重に考えたい。

とくに含よう素泉は、ヨウ素が甲状腺ホルモンの材料となる成分であるため、バセドウ病や橋本病など甲状腺の病気がある人や治療中の人は、自己判断で飲泉を行わないほうがよい。詳しくは含よう素泉とはを参照してほしい。入浴も含めた温泉利用全般の安全面については、入浴時の健康注意点にまとめている。いずれの場合も、飲泉は医療の代替ではなく、持病があるなら医師の判断を優先するのが基本だ。

飲み方の基本

初めてなら、ごく少量から試すのが基本である。飲泉所の案内に1回あたりの目安量や1日の上限が示されている場合は、それを超えないことが重要だ。良いと思って多く飲むほど効くわけではなく、むしろ成分のとりすぎにつながる。

熱すぎる湯を無理に飲む必要はなく、適温で味わえばよい。空腹時や、体調が悪く気分が不安定なときは避けたほうがよい。観光気分で一気に飲むものではなく、あくまで少量を慎重に試す体験と考えたい。掲示された禁忌症に自分が当てはまらないかを確認してから口にするのが、安全な飲泉の前提になる。

よくある質問

浴槽の温泉を飲んでもいいですか

飲まないでください。飲泉が許可されているのは、飲用専用の飲泉所など、飲用可と明示された場所だけです。浴槽の湯は入浴のための湯で、衛生面でも飲用を前提にしていません。入浴と飲泉はまったく別の利用方法であり、湯に浸かれることは飲めることを意味しません。

どの温泉でも飲めますか

飲めません。温泉を飲用に供するには、温泉法にもとづく都道府県知事の許可が必要で、水質検査などの基準を満たした温泉だけが飲用を認められます。掲示や案内のない源泉を勝手に飲むのは避け、「飲用可」と表示された飲泉所でのみ行ってください。

飲泉にはどんな効果がありますか

環境省の枠組みでは飲用の適応症として慢性消化器病・便秘などが一般に挙げられますが、これは一定期間くり返し利用することを前提としたもので、本記事では効果を断定しません。飲泉は薬ではなく、病気を自己判断で治療する手段にはなりません。持病がある場合は医師に相談してください。

持病があっても飲泉できますか

慎重に判断してください。飲用には禁忌症が定められており、腎臓病・高血圧・心疾患・消化器疾患のある人、塩分やミネラルの制限がある人、妊娠中の人、子ども・高齢者は注意が必要です。とくに甲状腺の病気がある人は含よう素泉の飲泉を自己判断で行わないでください。不安があれば事前に医師へ相談を。

飲泉はどれくらい飲めばよいですか

飲泉所の案内に示された目安量・上限に従い、少量から試すのが基本です。多く飲むほど効くわけではなく、成分のとりすぎにつながります。空腹時や体調不良時は避け、熱すぎる湯を無理に飲む必要もありません。

まとめ

飲泉とは、飲用が認められた温泉を少量だけ味わう文化であり、どの温泉でも自由に行えるものではない。飲用には都道府県知事の許可が必要で、環境省の枠組みでは飲用の適応症だけでなく禁忌症も定められている。だからこそ飲泉は、飲泉所の掲示を確認し、現地のルールと目安量に従うことが大前提になる。

旅行者にとっては、効能を期待しすぎるより、塩味・鉄・苦味といった泉質ごとの味を通じて温泉の成分を実感する体験として捉えるのが分かりやすい。腎臓病や高血圧などの持病がある人、妊娠中の人、子ども・高齢者、そして甲状腺疾患のある人は無理をせず、必要なら医師に相談すること。安全を最優先にすれば、飲泉は温泉への理解を一段深めるきっかけになる。各泉質の詳細は硫酸塩泉とはや含よう素泉とはから、安全面は入浴時の健康注意点から確認してほしい。

出典

  • 環境省「鉱泉分析法指針(平成26年改訂)」
  • 環境省「温泉の保護と利用 — 療養泉の定義と分類」
  • 日本温泉協会( https://www.spa.or.jp/ )
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