「温泉なのに冷たい」。こんな体験をしたことはないだろうか。実は、日本の温泉法では、25℃以上の水であれば「温泉」として認められる。つまり、冷たくても温泉なのだ。
日本の温泉は、温度も極めて多様だ。冷泉から高温泉まで。この温度の違いが、温泉の個性と効能を左右している。
温泉法による温度分類
日本の温泉法では、温泉を温度によって4つに分類している。
冷泉: 25℃未満
低温泉: 25℃以上34℃未満
温泉: 34℃以上42℃未満
高温泉: 42℃以上
さらに細かく分類すると、以下のようになる。
- 冷鉱泉: 25℃未満
- 微温泉: 25℃以上~34℃未満
- 温泉: 34℃以上~42℃未満
- 熱い温泉: 42℃以上~50℃未満
- 高温泉: 50℃以上
日本の温泉の温度事情
日本の温泉は、ほとんどが「温泉」または「高温泉」だ。つまり、34℃以上の温度がある。
しかし、冷泉や低温泉も存在する。これらは、火山活動が弱い地域や、深い地下水が湧き出る場所に多い。
冷泉(25℃未満)
冷泉は、温度が25℃未満の温泉だ。「冷たい温泉」と聞くと違和感があるが、立派な温泉である。
冷泉の特徴
温度: 25℃未満。体温よりも低い。
入浴方法: そのまま入ると冷たい。多くの施設では、加温して提供している。
効能: 温度が低いため、長時間入浴が可能。心臓への負担が少ない。
代表例: 五色温泉(長野県)、奥日光湯元温泉(栃木県、一部)。
冷泉の楽しみ方
冷泉は、加温せずに入ると、冷たくて刺激的だ。夏場は、冷たい温泉が気持ちいい。
また、冷泉は飲泉に適していることが多い。温度が低いため、飲みやすい。
低温泉(25℃~34℃)
低温泉は、ぬるめの温泉だ。体温よりも低いが、冷たくは感じない。
低温泉の特徴
温度: 25℃~34℃。ぬるい。
入浴方法: 長時間入浴に適している。リラックス効果が高い。
効能: 副交感神経を刺激し、リラックスさせる。血圧を下げる効果。
代表例: 鳴子温泉(宮城県、一部)、湯田温泉(山口県)。
低温泉の楽しみ方
低温泉は、30分~1時間と長時間浸かれる。読書をしながら、ゆっくりと温泉に浸かる。究極のリラックス体験だ。
温泉(34℃~42℃)
最も一般的な温泉の温度帯だ。日本人が「ちょうどいい」と感じる温度。
温泉の特徴
温度: 34℃~42℃。快適な温度。
入浴方法: 10~15分程度の入浴が適切。
効能: 血行促進、リラックス効果、疲労回復。
代表例: ほとんどの温泉がこの温度帯。
適温は何℃か
日本人が最も快適と感じる温泉の温度は、39~41℃程度とされている。この温度では、副交感神経が優位になり、リラックスできる。
42℃を超えると、交感神経が刺激され、興奮状態になる。
高温泉(42℃以上)
熱い温泉だ。日本には、非常に高温な温泉が多い。
高温泉の特徴
温度: 42℃以上。熱い。
入浴方法: 短時間(5~10分)の入浴。長時間は入れない。
効能: 交感神経を刺激し、覚醒させる。発汗作用が強い。
代表例: 草津温泉(群馬県、源泉は50℃以上)、熱海温泉(静岡県)。
高温泉の楽しみ方
高温泉は、「熱い!」という刺激を楽しむ温泉だ。短時間入浴して、休憩する。これを繰り返す。
また、高温泉は「湯もみ」で冷まして入る場合もある。草津温泉の「湯もみショー」は有名だ。
源泉温度が高すぎる温泉
日本には、源泉温度が100℃近い温泉もある。
玉川温泉(秋田県): 源泉温度98℃。日本一のpH1.2の強酸性温泉でもある。
草津温泉(群馬県): 源泉温度は約50~80℃。熱すぎるため、冷まして入浴する。
これらの温泉は、源泉をそのまま使うことができない。加水や冷却が必要だ。
温度と効能の関係
温泉の温度は、体への影響を大きく左右する。
ぬる湯(34℃~39℃)
効果: 副交感神経を刺激。リラックス効果。血圧を下げる。
おすすめの時間: 就寝前。長時間入浴したい時。
適温湯(39℃~42℃)
効果: 血行促進。疲労回復。バランスの取れた効能。
おすすめの時間: いつでも。最も万能な温度。
熱い湯(42℃以上)
効果: 交感神経を刺激。覚醒効果。発汗作用。
おすすめの時間: 朝。目を覚ましたい時。
温度の好みは人それぞれ
温泉の温度の好みは、人によって異なる。
熱い湯が好きな人: 「熱くないと温泉じゃない」と感じる。
ぬる湯が好きな人: 「長時間浸かりたい」と考える。
どちらも正しい。自分の好みに合った温度の温泉を選べばいい。
温度で温泉を選ぶ
温泉施設では、源泉温度や浴槽温度が表示されていることが多い。これを参考に、自分に合った温度の温泉を選ぼう。
リラックスしたい: ぬる湯(34℃~39℃) バランス良く: 適温湯(39℃~42℃) 刺激が欲しい: 熱い湯(42℃以上)
まとめ
日本の温泉は、温度も極めて多様だ。冷泉から高温泉まで、様々な温度の温泉が存在する。
温度は、体への影響を大きく左右する。ぬる湯はリラックス効果、熱い湯は覚醒効果。自分の目的に合った温度の温泉を選ぼう。
「冷たい温泉」も立派な温泉だ。温度の違いを楽しむことも、日本の温泉の醍醐味なのだ。
