
Vol.5
愛知県
2026/4/3-5 岐阜・愛知・三重サウナ旅
「サウナ フジ」の体験談
地下4階に広がる漢のオアシス
📅2026/4/516:00
岐阜、名古屋、三重、そしてまた名古屋。地図の上を行ったり来たりしながら、旅の最終地点に辿り着いた。
「神馬(しんめ)の湯」を後にして名古屋に戻ると、さすがに少し疲れを感じていた。カフェに入り、コーヒーを飲みながら買い物も済ませる。後はサウナに入るだけだ。今回の旅で巡った施設を数えてみる。新岐阜サウナ、天然温泉 三峰、湯どころ みのり、神馬の湯。どれも素晴らしかった。そして、最後の1施設が残っている。名古屋にはこれまで何度も足を運んでいるが、この老舗には一度も入ったことがなかった。
タクシーに乗り込む。「サウナ フジまでお願いします」。
到着して外観の写真を撮っていると、向かい側にひつまぶしの店が目に入った。名古屋の名物ではないか。サウナ飯はここで決まりだ。旅の最後を名古屋名物で締めくくれるとは、なんとも出来すぎた展開である。
「サウナ&カプセル フジ」は1997年に開業し、2022年に大規模リニューアルを経た栄の老舗メンズサウナだ。館内は地下4階まである。地下空間にサウナがあるというのがいい。秘密基地に潜り込むような高揚感。男のロマンだ。休憩ラウンジもホールのように広く、思っていたよりずっと高級感がある。
階段で地下4階まで降りる。大浴場に入った刹那、目の前に広がっていた光景に息を呑んだ。
ダークな照明に沈む空間の中央に、全長20mの巨大なプールが横たわっている。その奥には滝をモチーフにした岩のオブジェクトがそびえ、轟音とともに大量の水がプールへ注ぎ込まれていた。プールサイドには休憩用の椅子がずらりと並び、サウナ上がりの男たちが思い思いの姿勢で沈んでいる。皆、極上の整いの中にいるようだ。プールのある施設はこれまでもいくつか訪問してきたが、ここまで世界観を作り込んでいる施設は小生の記憶にない。プールの水面に反射する照明、滝の轟音、岩肌の質感。地下4階にいることを忘れさせる没入感がある。眺めているだけで、すでに満たされ始めていた。
サウナは3種類。メインの「漢のサウナ」は定員40名の大空間で、毎時30分に三連式オートロウリュが発動する。「木漏れ日ロウリュ」はテレビのない静謐な空間。「亜熱帯スチーム」は温度控えめの低温サウナだ。水風呂は13℃の「深海の水」と22℃の「浅瀬の水」。バリエーションに申し分ない。
1セット目。迷わず「漢のサウナ」に入った。室内はモダンな雰囲気で、座って間もなく三連式オートロウリュが始まった。長い。約2分間隔で3回のロウリュが行われ、同時に前方から風が送られる。テレビの映像が焚き火に切り替わり、照明が落ちる。徐々に、徐々に、熱波がサウナ室を侵食していく。滝のように汗が噴き出してくるが、不思議と耐えられないほどではない。じわじわと追い詰められる快感とでも言おうか。三連式という仕組みが絶妙で、段階的に室温が変化していく。これは面白い。
13℃の「深海の水」に身を沈め、プールサイドへ向かった。滝の近くの椅子に座る。轟音が耳に響き、飛散した水飛沫が若干肌に触れる。この開放感は圧倒的だ。地下4階にいるとは思えない広がりがある。声が出そうになるのをかろうじて堪えた。1セット目にしてこの満足度。最後の施設が当たりだと、旅全体が輝く。
2セット目は「木漏れ日ロウリュ」を選んだ。テレビのないサウナ室で、壁面にヴィヒタが吊るされている。漢のサウナとは対照的に、静かな時間が流れている。たまたま他の客がいなかったので、最上段で足を伸ばしてリラックスした。天井の3つの送風口からロウリュの蒸気が降り注ぐ仕組みで、「木漏れ日」の名の通り、熱が上から差し込んでくる。瞑想に近い時間だった。水風呂の後、再びプールサイドへ。滝の音を聞きながら目を閉じる。この流れは永遠に繰り返せる。
ラストセット。まず「亜熱帯スチーム」に入ってみたが、低温であることに加えて若干匂いが気になった。率直に言えば、小生の好みではない。短い時間で退出し、気を取り直して再び「漢のサウナ」へ。ちょうどスタッフによるアウフグースが行われていて、いい熱波が充満している。旅の最後を飾るにふさわしい熱だ。ただ、一つ気になったのはサウナ室の床板が割れてしまっていたことだ。落とし穴のようになっていて、うっかり踏めば怪我をしかねない。スタッフが修繕に当たり、フロントからも人が駆けつけて確認していた。それを横目に水風呂へ直行し、旅の最終セットを終えた。

名古屋名物 ひつまぶし
向かいのひつまぶしの店に入った。整った体に、名古屋名物が染み渡っていく。
温泉やサウナに入ってスッキリして、整った体で美味い飯を食う。たったこれだけのことで、人生は幸せになる。美味い飯を食っている時こそが生きている醍醐味だと小生は思っているが、サウナ旅はまさにその繰り返しだ。幸せになることはあっても、不幸になることがない。だからやめられないのだ。
金曜の夜に旅を始めて、2泊3日で5施設。どの施設でも同じ体験は何一つなかった。全てが新鮮で、全てが一期一会だった。
名古屋駅に戻り、大いなる満足感に包まれながら新幹線に乗り込んだ。
窓の外を流れる景色を眺めているうちに、もう次の旅のことを考えている自分がいる。全く、困ったものだ。
今回の旅は、これにて終了である。

