林檎の湯屋 おぶ~
Vol.9
長野県
2026/3/19-22 静岡・山梨・長野サウナ旅

林檎の湯屋 おぶ~の体験談

旅の終わりは極上の水風呂と共に

📅2026/3/2212:00
久しぶりのハシゴだ。 「湯の華銭湯 瑞祥 松本館」でタクシーを呼び、「林檎の湯屋 おぶ~」に向かう。朝サウナは5セットと決めている。瑞祥で2セットを消化したので、おぶ~で残り3セット。タクシーでの移動は、ちょうどいいインターバルだ。20分ほどの車内で、瑞祥の興奮を沈めながら心身を落ち着かせていく。 「林檎の湯屋 おぶ~」は、この旅の最終目的地である。 旅の計画段階から、ここを最後に持ってきた理由がある。長野県の中でも最高峰の施設であると見当をつけていたからだ。北アルプスの伏流水をナノテクノロジーでさらにきめ細かくした「ナノ水」の水風呂。しかも飲める。この情報を知った時から、楽しみで仕方がなかった。旅の終わりは、最も極上の施設で迎えたい。それが小生の流儀だ。最高の施設で旅を締めくくれば、最高の思い出として記憶に刻まれる。 施設に到着した。何度もWEBサイトで見た外観が、ついに目の前に現れる。画面越しに見ていたものが現実になる瞬間は、いつだって胸が高鳴る。 午前中だが、まあまあの人がいる。地元の人たちに愛されている証拠だ。受付でタオルを購入し、大浴場へ向かう。オリジナルグッズも多数揃えているようなので、帰りに買って帰ろう。 浴室に入ると、15種類の多彩な風呂が目に飛び込んでくる。炭酸泉、ジェットバス、高濃度酸素泉。充実した布陣だ。しかし小生の目的は明確だ。サウナと水風呂。すでに瑞祥でウォーミングアップは完了しているので、いきなりサウナに入る。 1セット目は「ありがとうSAUNA」から。 8人ほどが入れるコンパクトな空間なのだが、その狭さに対してサウナストーブが明らかに大きすぎる。だから熱いのだ。湿度も高い。ダークカラー基調の落ち着いた空間で、自分のペースでセルフロウリュができるのだが、ロウリュのタイミングは施設側が管理している。時間になるとライトが点灯し、入れ物に水が注がれる。それを見て「我こそは」という人がロウリュをする。小生は油断して上段に座っていた。誰かがロウリュをした刹那、蒸気が一気に襲いかかってきた。滝のように汗が吹き出す。これは容赦ない。しばらく耐えたが、もう限界だ。 備長炭水風呂に向かう。 気持ち良すぎて、言葉にならない。 13〜14℃の冷たさだが、永遠に入っていられるレベルのまろやかさだ。甘さすら感じる。これが北アルプスの伏流水をナノ化した水なのか。備長炭の壁を伝って落ちてくる水と、滝のように上から降ってくる水を同時に浴びる。全身が冷却されていくのだが、水道水の水風呂とは次元が違う。肌に刺さらない。包まれる。まろやかという表現では足りない。北アルプスの恵みが、全身の細胞に染み込んでいく感覚だ。 水風呂を出て外気浴スペースに移動する。チェアが並んでおり、さあ整いなさいと言わんばかりだ。腰掛けた刹那、肌がツルツルになっているのを感じる。ナノ水の効果だろうか。その肌を風が通り抜けていく。優しく撫でてくれているような感覚で、意識が飛びそうになる。しばらく放心状態が続いた。 2セット目は「おとこまえSAUNA」へ。サウナの名前も素晴らしい。 入った刹那、アロマのいい香りが鼻腔を刺激する。直前までアウフグースが行われていたようで、その残り香が充満していた。レッドシダーが重ねられた重厚な壁面がアートのようだ。座面も広く、ゆったりと座れる。室温は90℃ほどで、湿度もちょうどいい。熱いけれど気持ちよさを感じるサウナだ。「ありがとうSAUNA」のセルフロウリュも良かったが、開放的な広いサウナでのびのびと座れるのもまたいい。 この旅を振り返りながら、大きなしあわせを感じていた。静岡のサウナしきじから始まり、山梨を経由して長野に辿り着いた。すべての施設で天然水の水風呂に入り、すべての施設で最高の体験をした。そんなことを考えながら、じっくりと体を温めていく。 再び備長炭水風呂へ。 そこから3セット目開始前まで、記憶がない。それくらい気持ちいいのだ。外気浴で意識を取り戻した後、露天にある一人用の水風呂「ひとり水」に向かった。信楽焼の壺に北アルプスのナノ水が常時注がれている。吐水口から流れる水を手で掬い、一気に飲み干した。 ああ、美味しい。気持ちいい。最高だ。 3セット目は「おとこまえSAUNA」、4セット目は「ありがとうSAUNA」。当初3セットの予定だったが、もう1セット追加してしまった。 セット数を重ねるたびに、旅の終わりを実感する。最後の施設では、気持ちよさと同時に、旅を終えたくないという悲しさが込み上げてくる。いつまでも旅が続いてほしいと願うが、何事にも終わりの時は必ずくるのだ。永遠に続くものは、この世には存在しない。だからこそ、その終わりの時をどのように迎えるかが大切なのだと思う。最も極上の施設で旅を終えた今、この記憶は最高の思い出として小生の中に刻まれた。「林檎の湯屋 おぶ~」には、必ずまた来たい。
信州名物 山賊焼 at 施設内のレストランにて
信州名物 山賊焼 at 施設内のレストランにて
サラダ at 施設内のレストランにて
サラダ at 施設内のレストランにて
4セットを終え、施設内のレストランで長野名物の山賊焼きとサラダを注文した。かなり美味しい。このレストランも人気があるようで、お客さんで賑わっている。風呂上がりの身体に、山賊焼きのスパイスが染みる。食事を終えるタイミングでタクシーを呼んだ。到着を待つ間に、売店でオリジナルグッズを購入する。 松本駅に向かうタクシーの車内で、素敵な出会いがあった。 運転手が開口一番、こう聞いてきたのだ。「林檎の湯屋 おぶ~で整いましたか?」。小生は驚いた。タクシー運転手からそんな質問が飛んでくるとは。「最高に気持ちよかったです」と答えると、運転手は嬉しそうに頷いた。 「わざわざスーパー銭湯にタクシーを呼ぶということは、サウナを目当てに旅をされている感じですか?」 まさにその通りだ。今回は静岡、山梨、長野と回って、これから帰るところだと伝えた。 「そうでしたか。ちなみに、どのような施設に行かれたのですか?」 サウナしきじから始まり、山梨を経由して、昨日は信州健康ランドに宿泊していたことを話した。すると、運転手の表情が一変した。 「本当ですか?もしかしたら会っているかもしれません。私は信州健康ランドの会員でして、昨日の夜も今日の朝も行きました。毎日信州健康ランドに行っております」 まさかだ。同じ施設に、同じ時間帯にいた可能性がある。サウナ旅をしていて、帰りのタクシー運転手がサウナ愛好家だったという展開を、誰が想像しただろうか。 そこから松本駅に到着するまで、サウナトークで盛り上がった。長野では他にも素晴らしい施設がたくさんあるという情報もゲットできた。別れ際に運転手がこう言った。「まさかサウナ好きの方を乗せることができるとは思いませんでした。また長野にいらしてください。他にも素晴らしいサウナがたくさんありますので!」 小生もこの出会いに感謝だ。 旅の最後に最高の施設で終われたこと。そして駅までの道で、サウナ愛好家の同志に出会えたこと。旅の終わりとしては、これ以上ない幕引きだ。 旅をしていると、一期一会の連続である。おそらくこの運転手とも、この先の人生で会うことはないだろう。もし会えたときは、それを運命と呼ぶのだろうが、現実的には可能性は低い。その一瞬の出会いに切なさを感じながら、松本駅のホームから帰りの電車に乗り込んだ。 今回のサウナ旅はこれにて終了である。
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