
Vol.3
京都府
2026/5/9-10 京都・大阪サウナ旅
「竹取温泉 灯りの湯」の体験談
竹林の風に吹かれて細胞を目覚めさせる朝
📅2026/5/1006:00
旅の日の朝は、どうしてこうも爽快な目覚めなのだろうか。
普段の隠居生活では、朝から何かをしようという気力など到底湧いてこないのだが、ことサウナ旅となると話は別だ。好きなことをしている充実感、そして何より質の高い温泉とサウナによって身体の深部の疲れが完全にリセットされ、極上の睡眠が得られている証拠であろう。いつも通りの起床時間ではあるが、布団の中で目を開けた瞬間に感じるエネルギーが、日常のそれとはまるで違う。
即座にベッドから跳ね起き、身支度を済ませて車のエンジンをかける。目指すは京都府八幡市にある「竹取温泉 灯りの湯」だ。朝6時のオープンに合わせて車を走らせる。まだ交通量も少ない早朝の道を飛ばしながら、窓を開けて冷たい空気を顔に受ける。早朝から営業している施設を巡る日は、朝サウナ、昼サウナ、夜サウナという3部構成で一日を構築するのが小生の定番のスタイルである。まずはこの「竹取温泉 灯りの湯」で、眠っている身体を暴力的に、いや、優しく叩き起こすのだ。
開店時間ジャストの朝6時。施設に到着すると、駐車場にはすでにそこそこの台数の車が停まっており、入り口に向かう同士たちの姿がちらほらと見える。「君たちも朝サウナの素晴らしさを知っているのだな」と心の中で語りかけながら、彼らに続くように暖簾をくぐった。
受付を済ませて大浴場へと足を踏み入れる。館内は非常に清潔感があり、清々しい木の香りが漂っている。脱衣所で秒速で全裸になり、いざ浴室へ。内湯も多種多様な浴槽が並んでおり、非常に広々としている。サウナ、水風呂、天然温泉と、必要なものはすべて揃っている完璧な布陣だ。
まずはしっかりと身を清め、まずは高濃度炭酸泉に身を沈め、じっくりと身体を起こしていく。シュワシュワとした気泡が皮膚に張り付き、徐々に血流が良くなっていくのがわかる。そこから天然温泉へと移動し、木漏れ日となって差し込む朝日を全身に浴びながら、贅沢な温浴を楽しんだ。
身体の芯が温まってきたところで、いよいよサウナ室の扉を開ける。
照明が適度に落とされたドライサウナは、正面には大きなストーブが鎮座しており、30分ごとに自動ロウリュが行われる仕様だ。入った瞬間は、若干湿度が物足りないかなという印象を受けた。これは汗をかくまでに少し時間がかかりそうだ。しかし、それでいいのだ。朝の情報番組が映るテレビをぼんやりと眺めながら、ゆっくり、じっくりと熱を体内に取り込んでいく。
小生が朝サウナをこよなく愛する理由。それは「生命」をダイレクトに感じることができるからだ。朝は、夜のサウナに比べて汗が出るまでに長い時間を要する。頭では起きて活動を始めているつもりでも、身体の奥底の細胞たちはまだ深い眠りの中にあるのだ。サウナの熱にじっと耐え、少しずつ、じんわりと汗が滲み出してくる過程を味わう。それはまさに、眠っていた細胞たちが、次々と目を覚ましていく儀式なのである。しばらく座っていると、ようやく身体の準備が整ったのか、滝のような汗が全身から吹き出してきた。細胞が完全に覚醒した証拠だ。限界を迎え、サウナ室を飛び出した。
すぐさまシャワーで汗を流し、待ちに待った水風呂へと向かう。
ここの水風呂は「石清水」と名付けられている。石清水八幡宮のお膝元であるこの地の、清らかな湧水を使用しているのだという。入る前から期待値は最高潮だ。水温計は16℃を指している。静かに身体を沈める。……素晴らしい。冷たすぎず、かといってぬるくもない、いつまでも入っていられそうな理想的な温度と、湧水特有のまろやかな肌触りだ。さらに、深さと広さも十二分にある。水風呂の広さというのは、サウナ体験の質を左右する上で極めて重要なファクターだ。狭い水風呂で他人の動向を気にしながら縮こまって入るのと、広い水風呂で手足を伸ばして入るのとでは、その後の整いの深さが全く変わってくる。ここの水風呂は、温度、広さ、水質、その全てにおいて申し分ない。湧水の恵みを全身の細胞で吸収し、シャキッとするまで身体を冷却した。
水風呂を出て、露天エリアのチェアに深く腰掛ける。
朝6時の開店に合わせてわざわざここまでやってきた自分の、半ば異常とも言えるサウナ熱に一人で酔いしれながら、小生は深く、極上の整いの世界へと落ちていった。
本日の朝サウナは、2セットで終了とした。朝の目的はあくまで「身体を起こすこと」であり、ここで体力を使い果たしてしまっては、この後の過酷なサウナ旅に支障をきたすからである。

ホテルの朝食
施設を後にし、宿泊していたホテルへと戻る。
朝食をしっかりと平らげ、チェックアウトの時間ギリギリまでベッドの上でゆっくりと過ごした。
その間、これから訪問する施設までのルートと、何パターンかの行程プランを練っていた。サウナ旅というものは、予想外の出来事の連続である。実際に足を運んだ施設が思いのほか期待外れで早々に退散することもあれば、「少し立ち寄るだけ」のつもりだった施設があまりに素晴らしく、予定を大幅に変更して長居してしまうこともある。夜まで楽しむつもりが、昼の施設で大満足してしまい、「もう今日は十分だ」とそのまま帰路につくことすらある。だからこそ、あらゆるケースを想定した「シミュレーション」をしておくことが、旅の充実度を担保する上で不可欠なのである。
今日はどんな出会いが、どんな極上が待っているのだろうか。
そんな尽きることのないワクワク感を胸に抱えながら、小生を待ち受ける次の施設へと向けて、車のアクセルを踏み込んだ。
次の目的地は、大阪府茨木市にある「彩都天然温泉 すみれの湯」だ。

