OND SAUNA
Vol.5
佐賀県
2026/2/27-3/2 福岡・佐賀サウナ旅

OND SAUNAの体験談

サウナのテーマパークを独り占め

📅2026/3/110:00
サウナを守る者と書いて「サウナ守(もり)」。 そんな粋な肩書きを持つ管理人が出迎えてくれる施設が、佐賀県武雄市にあると聞いた。ならば、行くしかない。サウナ旅とは、こういう出会いのために存在するのだと小生は思っている。 朝8時、佐賀駅のホームに立っていた。佐賀旅の計画は欲張りで、武雄市でサウナを楽しんだ後、今日中に有明海の方まで足を伸ばす予定だ。移動距離を考えればレンタカーは必須。まずは電車で武雄温泉駅まで向かうことにした。 車窓から外を眺めていると、御船山の特徴的な姿がぬっと現れた。独特の稜線を持つその山は、周囲の田園風景と相まって、まるで絵のような景色である。武雄温泉駅に到着し、レンタカーの鍵を受け取った。カーナビに「OND SAUNA」と入力して出発する。施設は武雄市の郊外、静かな森の中にある。案内に従って進んでいくと、次第に木々の密度が増していき、気がつけば完全に自然の中に入り込んでいた。 駐車場に車を止め、施設へと続く小道を歩く。鳥の鳴き声しか聞こえない。風が木々を揺らす音しか聞こえない。日常にあふれているあらゆる雑音が、この場所には存在しない。それだけで、すでに気持ちよくなってきた。 受付を済ませると、サウナ守が穏やかな笑顔で出迎えてくれた。施設の利用方法を丁寧に説明してくれながら、施設内を案内してくれる。小生は施設の全体像を把握しながら、一つの事実に気づいてしまった。 まさかの貸切状態である。 「今日は、お客様おひとりです」とサウナ守が静かに告げた。 この瞬間、小生の興奮は最高潮に達した。木のサウナ、金(METAL)のサウナ、火のサウナ。3種類のサウナを誇るこのテーマパークのような施設を、完全に独り占めしていいというのか。こんな贅沢が許されていいのか。もちろんいいのだ。遠慮なく楽しもうではないか。 まず、ドラム缶風呂で身体を温めることにした。武雄の天然地下水を使っているらしく、お湯に手を入れてみると、普通の水道水とは明らかに質感が違う。温泉水のようにまろやかで、少し温泉っぽい匂いもする。静かな森の中で、ドラム缶に浸かりながら木々を眺める。聞こえるのは鳥の声と、お湯が揺れる音と、どこかで薪が燃える音だけだ。大自然の中で風呂に入るとこんなにも気持ちいいものかと、改めて実感した。 十分に温まったところで、いよいよ1セット目へ。向かうのは「木のサウナ」だ。 このサウナは、世界建築賞「A+Awards」で世界1位を受賞したという。その事実を知っていても、実際に目の前にすると驚く。一つの建物の中にサウナ・水風呂・外気浴スペースが縦に積み重なっており、サウナ室を出て水風呂を通り、らせん状の階段を上っていくと地上3.5mの屋上外気浴スペースに辿り着く設計だ。 サウナ室に入った刹那、薪ストーブの炎が目に飛び込んできた。85℃の空間に、薪が燃える音と香りが満ちている。視覚・聴覚・嗅覚、全ての感覚がいっせいに揺さぶられる。こんなにも豊かな感覚でサウナに入れることが、あるだろうか。テレビはない。音楽もない。あるのは炎と熱と、自分の鼓動だけだ。 十分に身体を熱した後は、天然炭酸地下水かけ流しの水風呂へ。水深は130cm。掛け流しの地下水が常に新鮮な状態で補充されており、透明度が高い。17℃の水が、サウナで熱しきった身体を一気に包み込む。温泉水のようなまろやかさがある。これが炭酸地下水の力なのか。肌が雄叫びを上げているような感覚だ。 水風呂を出て、らせん階段を上ると、アディロンダックチェアが待ち構えていた。3.5mの高さから見る武雄の森は、圧巻の一言だ。樹木と同じ目線で、緑の海を眺める。すでに十分に整っているはずなのに、この絶景がさらに整いを増幅させていく。こんな外気浴がしたかった。ずっとこういう場所で整いたかったのだという願望を、この施設はいとも簡単に叶えてくれた。 外気浴の傍らには、焚き火スペースがある。炎を眺めながら外気浴をする。最高のシチュエーションだ。しばらくすると、サウナ守が近くに来て静かに話しかけてくれた。 サウナ守:「いかがですか?」 小生:「最高すぎて、言葉が出ません。」 サウナ守:「(笑顔で)ありがとうございます。実は私もサウナが大好きで、九州中のサウナを巡っているんですよ。」 小生:「本当ですか。では、ぜひ教えてください。九州で行くべき施設を。」 そこから10分ほど、サウナ守との九州サウナ談義が続いた。どの施設が極上なのか、どの水風呂が素晴らしいのか。施設の管理人がこれほどのサウナ愛好家だとは思っていなかった。だから、この施設のサウナはこんなにも本物なのだと合点がいった。サウナを愛する者が作ったサウナには、愛が宿っているのだ。 2セット目は「金(METAL)のサウナ」へ。 外観を一目見て、思わず笑ってしまった。ステンレスの全面鏡張りで、周囲の木々がそのまま映り込み、まるでサウナが森に溶け込んでいるように見える。現代アートの作品のような佇まいだ。「秩序」をテーマとした無機質な外観とは対照的に、内部はパイン材のあたたかみある空間が広がっている。 貸切状態なので、誰もいない。当然ながら、ここも独り占めである。バスタオルを座面に敷き、仰向けに寝転がった。一人用の水風呂が横に鎮座しており、サウナと水風呂を完全にプライベートな空間で楽しめる設計だ。天井を眺めながらじっくりと身体を温め、そのままひとりで水風呂へ。もちろんここも天然炭酸地下水のかけ流しだ。マジで気持ちいい。語彙力を失うほどに気持ちいい。
木のサウナ: 世界建築賞「A+Awards」で世界1位を受賞
木のサウナ: 世界建築賞「A+Awards」で世界1位を受賞
金のサウナ
金のサウナ
火のサウナ
火のサウナ
武雄温泉駅近くの焼肉屋で佐賀牛を堪能
武雄温泉駅近くの焼肉屋で佐賀牛を堪能
3セット目は、再び「木のサウナ」へ。 今度はセルフロウリュを試みることにした。ひしゃくで水を汲み、薪ストーブのサウナストーンに浴びせる。「ジュワーッ」という轟音と共に、大量の蒸気が室内に広がる。温度が一気に跳ね上がり、小生の心拍数も急上昇する。気持ちいい。全身の毛穴が開いているのがわかる。調子に乗って何度もロウリュを繰り返していると、施設スタッフがサウナ室の外から声をかけてきた。 スタッフ:「熱いの好きなんですね〜〜〜!」 図星である。思わず声に出して笑ってしまった。スタッフも笑っている。こういう温かい交流が、サウナ旅の醍醐味だ。 4セット目も「木のサウナ」。今度はスタッフがロウリュをしてくれた。ただのロウリュではない。使うのは、周囲の森で自家栽培したハーブだ。ウィスキングのような形式で、ハーブをストーブの上にかざし、その香りを蒸気に乗せて室内に広げていく。刹那、あまりに素晴らしい香りが小生の鼻腔を侵略した。これ以上の贅沢があるだろうか。自家栽培のハーブでロウリュをしてくれる施設が、他に存在するのだろうか。こんな香りをまとったサウナ蒸気を吸いながら、心拍数が限界を超えていく。贅沢という言葉が霞むほどの体験だ。 5セット目は「火のサウナ」で締めた。窓から森を眺めながら入るバレルサウナだ。窓の外には、緑が広がっている。風に揺れる葉が、キラキラと光を反射している。サウナを出てすぐ横に、またしても地下水かけ流しの水風呂。これで5セット目が終了だ。 結局この日、小生はOND SAUNAのサウナを完全に貸切状態で、5セット楽しんだ。 振り返ってみると、一度たりとも同じ体験はなかった。薪の炎に包まれた「木」、鏡の中に溶け込む「金(METAL)」、焚き火と共に過ごす「火」。それぞれにコンセプトがあり、それぞれの水風呂があり、それぞれの外気浴がある。サウナテーマパークという表現がこれほど適切な施設は、全国を探してもそう多くはないだろう。 武雄の天然炭酸地下水を全身で浴び、森の静寂の中で5セットを終えた小生は、完全に空になっていた。邪念も、雑念も、何もない。清らかな状態で施設を後にした。 その後、武雄温泉駅の近くの焼肉屋に入り、佐賀牛を堪能した。昨日に続いて本日も佐賀牛である。2日連続でも全く飽きない。サウナで消耗したエネルギーを、最高級の肉で補給する。これ以上のルーティンがあるだろうか。 さて、今日の旅はまだ終わっていない。次に向かうのは有明海だ。有明海を一望しながらサウナ、水風呂、外気浴を楽しめる佐賀県屈指の施設「蟹御殿(かにごてん) 有明海の湯」が小生を待っている。武雄の森から有明海へ。佐賀の旅は、まだまだ続く。
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