
Vol.8
福岡県
2026/2/27-3/2 福岡・佐賀サウナ旅
「筑紫野 天拝の郷」の体験談
人生初!サウナ室の中に鳥居が鎮座
📅2026/3/212:00
名残惜しさを感じながら、武雄温泉駅のホームに立った。
「OND HOTEL」での朝のサウナを終え、すでに十分すぎるほど満たされていた。しかし、小生にはまだ、もう一つの目的地が残っていたのである。電車で二日市(ふつかいち)駅を目指す。
二日市駅に降り立った瞬間、大雨であった。
駅から出て、その流れでタクシーに滑り込む。「天拝の郷(てんぱいのさと)までお願いします」と告げると、「はいよ、あそこは人気ですね」と運転手が返してきた。地元民にも愛される施設なのだなと思っていると、あっという間に目的地に着いた。
施設に入って最初に感じたのは、「人が多い」ということだ。平日の昼前というのに、賑わっている。その熱量の正体は、すぐにわかった。施設内のレストラン「姫蛍(ひめほたる)」が、ランチビュッフェを開催しているのである。見渡せば、老若男女が九州各地の料理を思い思いに盛り付けている。素晴らしいことではあるが、小生の目的はサウナだ。まずは入浴から始めることにした。
受付を済ませ、男性浴場へ向かう。脱衣所の扉を開くと、まず目に入るのが天井の高さだ。圧迫感がない。それだけで、なんとなくいい施設だとわかる。身を清め、内湯のエリアに出た。
地下1,500メートルから湧き出る天然温泉「天拝の湯」にゆっくりと浸かる。柔らかい。無色透明のお湯は、さらりとした肌触りで全身を包む。露天風呂では、天気がよければ宝満山(ほうまんざん)や筑紫野市街を一望できるらしいが、この日は大雨であるため、景色は霞んでいた。まあ、こんな日もある。常に完璧なシチュエーションは人生には存在しない。
温泉で十分にウォーミングアップを済ませた後、サウナエリアへ向かう。「筑紫野 天拝の郷」には、2種類のサウナがある。
まず入ったのが、「さうな鎮守の杜」と呼ばれるメインサウナだ。扉を開けた刹那、芳醇な木の香りが鼻腔を刺激する。天井まですべてレッドシダーを使った、贅沢な造りである。
レッドシダーとは、北米原産のウエスタンレッドシダー(Thuja plicata)のことを指す。防腐・防虫性能に優れた耐久性の高い木材であり、独特の芳香成分が含まれているため、サウナ材としても最高峰のひとつとして名高い。肌に熱が伝わりにくく、長時間座っていても木が熱くなりにくいという特性も持つ。杉や桧とは異なる、どこか清涼で甘みのある香りが、サウナ室全体に満ちているのだ。
そして、このサウナ室で小生が最も目を引かれたのが、サウナストーンが祀られた鳥居の存在である。サウナ室の中に鳥居があるのは、小生もこれが初めての体験だ。サウナとは本来、フィンランド発祥の文化であるが、日本の神域の象徴である鳥居がそこに鎮座することで、「和の聖域」が誕生している。室温は90〜95℃。3段構成で、15人ほどが座れる広々とした空間だ。大きなサウナストーブのパワーも十分で、しっかりとした熱が全身を覆ってくる。
水風呂は、天拝山の天然地下水を使用した16℃の冷水が貯えられている。温度と水質のバランスが絶妙だ。入った瞬間、全身がシャキッとするような爽快感が走る。若干の塩素臭がするため、かけ流しではなく循環濾過方式のようではあるが、それを差し引いても、まろやかで心地よい水質であることは間違いない。
外気浴は、大雨のため屋外には出られず。内湯エリアに置かれたインフィニティチェアに寝転がることにした。天井を見上げ、全身の力が抜けていく感覚を楽しむ。
2セット目は、「さうな天満宮」と呼ばれるセルフロウリュサウナへ。こちらも全面レッドシダーで張り巡らされた空間で、室温は80〜85℃前後。テレビはなく、静かな空間の中でセルフロウリュを楽しめる。柄杓で水をかけると、シュウッという音とともに大量の蒸気を噴き上げる。湿度が一気に上がり、体感温度がぐんと増す。このサウナには、自分と向き合うための装置が揃っている。
3セット目は、再びメインサウナへ。鳥居を眺めながら背筋を伸ばして汗をかく。外は大雨。しかしこの空間には、独自の静けさがある。サウナ室に入るたびに、あの芳醇な木の香りが出迎えてくれる。3セットを終え、この日のサウナ活動が幕を閉じた。


着替えを済ませると、待ちに待ったランチビュッフェの時間がやってきた。
「姫蛍」のビュッフェは、九州各地の旬の食材が並ぶ贅沢な内容だ。博多明太子、大分の鶏料理、佐賀の新鮮な野菜、長崎の魚介。どこから手をつければいいのか迷う。迷いに迷って、とりあえず皿を山盛りにした。サウナ後の空腹感が、料理の美味しさをさらに増幅させる。これが、サウナ旅の醍醐味のひとつなのだ。
さて、帰る時間がやってきた。博多駅に向かい、新幹線に乗り込む。今回も極上の旅ができたことに感謝したい。旅が始まる前から素晴らしい体験ができるとは思っていたが、想像以上の旅だった。こんな旅をまたしたいと思う。そのために仕事を頑張り、旅の計画を立てるのだ。次は、どんな施設が小生を待っているのだろうか。今回の福岡・佐賀サウナ旅はこれにて終了だ。

